#137 30年ぶりのレストラン
いつも行く店とは雰囲気が違うレストランで
ランチ。
最初立ち寄った店が満席で入れず、
ふと思いついて
30年ぶりのレストランへ。
丘の中腹にある、
当時チーズケーキが美味しくて有名だったお店。
建物は洋館で、昭和を感じる昔から変わらないつくり。
この建物、洒落た感じで憧れたな。
店に入ると、ふかふかした大きなソファには
色とりどりの膝掛けがたたんで置いてあったり、
壁際には古そうな雑誌が積んであったり、
陶器の置物がそこここにあって
ノスタルジックな雰囲気に包まれていた。
当時20代半ばの私にとって
このインテリアがとてもモダンで素敵で
お料理も美味しくて少し高め。
このお店で食べるのはちょっと贅沢だった。
少し古びた印象の店内をどこに座ろうかと奥へ進み、
一番奥のサンルームのテーブルへ。
窓の外には緑が見える。
丸いテーブルには目の覚めるような水色の
テーブルクロス。
テーブルクロスがかかっているお店で食事するなんて
何年ぶりだろう。
最初に運ばれてきたのは、じゃがいものスープ。
それから、バゲットと小さな器に入ったバター。
スープからは湯気が立っていて、
あったかいうちに丸い大きなスプーンですする。
さっぱりめのポタージュスープ。
貝の形のバターだと思っていたら、
うまく表面をすくいとって丸くカーブしている薄いバターが
重ねられているのだった。
四角いバターに慣れているので、こういうのも楽しい。
メインディッシュは、鶏肉の黄金焼き。
鶏肉のカツなんだけど、本当においしかった。
鶏肉からも湯気が上がっていて、
腹ペコのおなかにはたまらないおいしさ。
ふっくらしたお肉は柔らかく、
衣のパン粉がカリッとして小麦の風味が良くて
衣だけでも食べられそう。
ポン酢系?のソースがよく合って、
お皿に彩よく並んだブロッコリー、にんじん、なす、コーン、かぼちゃと
一緒に。
サラダの器には、
レタス、サニーレタス、玉ねぎの薄切り、トマトのくし切り。
何味かわからないけど、
かかっているドレッシングが美味しくてうなった。
最初、古びたなと時代を感じたお店も、
この頃になるとお料理がおいしくて
居心地が良くなってきた。
食後のデザートは、シフォンケーキ。
懐かしいチーズケーキも久しぶりに食べてみたかったが
軽めのふわふわケーキにした。
たっぷりの生クリームとフルーツと、
生き生きしたミントが添えられていた。
チョコレートソースがひとまわしかかっている。
フルーツは、いちごと皮付きのくし切りりんご、
オレンジ、バナナ。
オレンジと皮付きりんごが出てくるあたりが
ちゃんと作っている感じがしてちょっと感動。
冷凍のフルーツは使っておらず、全部フレッシュだ。
コーヒーももちろん香りがよくおいしくて、
カップも楽しみながらいただく。
器もお店によって違うがそれぞれの個性が出ていて
それも楽しみのひとつ。
30年前に食べたこのお店のランチがとてもおいしかったこと、
カレーやドリアなどの単品でなく
コースでメニューを注文することがすごく贅沢に感じたのを
覚えている。
昔、少し背伸びして注文した感覚を思い出して
私も歳を重ねたんだなと思った。
30年前に味わったこのレストランの魅力は
今回も変わらなかった。
またここでランチを食べたいという想いが
わき出てる。
おいしい料理は幸せにしてくれる。
最初に行ったいつも行くお店に入れなかったから
ここに来れた。
これも縁。
新しいお店を発掘したような気分。
🌱お読みいただき、ありがとうございます(^ω^)