#37 緑の中の朝ごはん
朝起きてすぐパン屋さんに出かけた。
朝ごはんの食パンを買って帰るつもりだったが、サンドイッチでも買ってどこか公園で食べるのもいい。
朝食用に、エビの入ったビスクソースのサンドイッチと紙パックのカフェオレを買い、おやつのパンもいくつか購入。
パン屋を出て、毎月、月参りをしている神社に寄った。
お参りのあと、いい景色が見える場所にあるテーブルで朝ごはんにした。
曇りや雨も多いこの頃だが、この日はまっさおな青空。
青く晴れ渡った空や緑が美しく、なんて気持ちいいんだろう。
初夏、一年で一番緑が生き生きと輝く時期だ。
この神社は長い石段を上った所にあり、上からは街を一望できる。
鳥のさえずりが聞こえ、あとは静寂。
時折お参りにくる人が通り過ぎていく。カップルやランニングしている人。
足元には鮮やかな黄色のタンポポが一つだけ咲いていてかわいく、癒された。
のどかにひらひら飛ぶチョウチョ。
風に揺れる木々の青葉。さわやかな初夏の風景。
サンドイッチはこんがり焼いたトーストに、ビスクソースとエビ、ブロッコリー、玉ねぎの薄切りが挟んであった。
緑に囲まれた木陰の石のテーブルに座り、街や空を眺めながらカフェオレを飲んだりサンドイッチをほうばった。
なんて穏やかで幸せな時間なんだろう。
今、この時間を楽しみ切ること。
これが『今幸せになる』ということだ。
この時間、確かに私は幸せを感じている。それを意識すると、より「ああ今日は幸せだったな」と思える。
出かける時はだいたい本をバッグに入れている。
食べ終わってから取り出し、少し読んだ。
最近読み始めた、北方謙三さんの『水滸伝』
昔の中国の話でまだ最初の何ページかしか読んでいないが、のっけから引き込まれておもしろい。腐敗した政府を倒すというストーリーのようだ。
おいしい匂いをかぎつけた小さな虫が一匹ブンブン寄ってきたので、それを機に神社を後にした。
外で食べる朝食もなかなかいいもの。