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上高地週間(徳沢編)

一週間の間に、2回上高地へ行っていました。
1回目は徳沢まで1泊2日。
2回目は涸沢まで2泊3日。
今回は、徳沢編をご紹介します。

後半の涸沢編はこちら。

上高地について詳しくはこちらをどうぞ。


10年くらい前から、毎年上高地へ行っています。
家族や友人とグループで訪れた年もありましたが、ここ7年ほどはずっと10歳年上の友人と2人で訪れていました。
徳沢までの片道約6キロの散策道を、友人と2人のんびり歩きながらいろんな話をして、天国のような美しい景色を眺めて、徳澤園や徳澤ロッヂでゆったりとした静かな夜を過ごすのが恒例。
2人とも標高1,000m超の自然豊かな高原に暮らしているにもかかわらず、それでも上高地の特別な空気に触れたくて、毎回行くたびに「今年も来ることができたね!」「来年はいつにする?」と言い合っていました。

今年6月にその友人が他界して、彼女のご主人から「徳沢へ行ってみたい」と言われました。
そこで、今回はわたしの夫を含めた3人での、彼女を偲ぶ1泊旅行となりました。

当日は、お天気に恵まれて雲一つない空。
10年間訪れた中で一番の晴天でした。

観光客で溢れかえる河童橋。
中央奥に奥穂高岳。

河童橋にはライブカメラがあって、以前友人がここでそのカメラに向かって手を振りながらご主人に電話していたことを思い出します。
職場のパソコンに向かっているであろうご主人に、「写ってる~? 見える~?」と通話していたなあ。

マイカー規制されている上高地ですが、大型観光バスがバスターミナル駐車場に入れずに路肩に何台も待機するような混雑状態で、河童橋周辺は平日にもかかわらずものすごい人出でした。
明らかに昨年よりも人は多く、そしてほとんどが外国人観光客。

それでも、河童橋から明神、明神から徳沢へと、奥へ向かうごとに見事に観光客の数は減っていきます。
そして、例年だと紅葉も終わっている時期なのですが、今年は遅れ気味のおかげでまだ十分美しい景色が見られました。

雪がチラついてもおかしくない時期に、汗ばむほどの暖かさ。

毎年友人と眺めた景色の中を、彼女のご主人と一緒に歩きます。

今年の上高地も天国のようでした。
「神降地(かみこうち)」と言われるのも納得です。
とにかく水が美しい。

ウェストン碑も明神池もゆっくり回って、この夜の宿泊地、徳澤園へ到着。

井上靖の『氷壁』で有名な宿。

『氷壁』は学生時代に読みましたが、当時のわたしはザイルとピッケルの違いもわかっていませんでした。
10年前に初めて徳澤園に宿泊する直前に、気を引き締めて再読したはずなのですが、10年経ってまた内容をほぼ忘れています。

徳澤園のテント場。
われわれは小屋泊。
普段テント泊の夫も、この日だけは小屋泊です。

宿に併設された宿泊者専用の「TOKUSAWA BASE」にて、夕暮れのひととき。
2階席から夕食までの時間を過ごしました。

屋内には本棚やバーカウンター、ボルダリングウォールも。
2階席からの眺め。
目の前には神々しく光る前穂高岳。
小さなボルダリングウォール。
難易度は、赤<黒<白のようです。

夫は3色すべて楽々クリアしましたが、わたしは赤のホールドしかクリアできませんでした。
ビールを飲んでいたせいにしておきます。

友人とも何度か泊まった徳澤園の相部屋「HOTAKA」がこの夜の寝床。
カーテンと壁に仕切られた1畳分ほどのプライベート空間が、なぜかとっても落ち着きます。

相部屋もオシャレな徳澤園。

徳澤園の楽しみと言えば、なんといっても山小屋とは思えないサービスと食事。
けれども、すみません、お料理の写真を一切撮っていませんでした……。

朝4時台に1人で眺めた月と星空。
拡大するとオリオン座が映っていると思います。


毎年訪れてきた上高地徳沢。
友人の不在にはどうしても慣れることができないから、今年もあの場所に一緒にいたと思うことにします。
青い空も眩しい山々も澄んだ水も満天の星空も、彼女にも見えていると信じながらの2日間でした。

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