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お粥は覚えた
以前、外国人のお客様をお迎えした時の、わたしのお恥ずかしい英会話力を披露いたしました。
今回も、引き続きわたしの拙い英会話シリーズです。
こんな山の中の小さな喫茶店に、遠い異国からわざわざお客様が訪れてくださることには大変感謝しておりますが、相変わらずほぼ日本語と、とんでもないひどい英語で対応しております。
先日、アジア系のお客様がいらした時のこと。
いつものようにわたしのカタコトの英語でオーダーとサーブをなんとか無事しのいだ直後、その外国のお客さまがおもむろに動画撮影を始められました。
自撮り目的ではありましたが、店内には他に2組のお客様がいらして、完全にわたしを含め他のお客様も映り込む状況。
そこで、「撮影は、他のお客様が映らないようにご配慮ください」とお伝えしようと思ったけれど、そんな英文が出てくるわけもなく。
咄嗟に出た言葉は、「Please ……photo and video ……んーと、ええと、 ノー、ピープル。ノーピーポーで、お願いしま~す」。
自分でも言いながら、絶対に伝わらないなと笑みがこぼれておりました。
当然ながら、お相手の外国の方は「撮影は禁止ですか?」というようなことを英語でこちらに伝えてきます。
そのお客様が話す英語は、不思議となんとなくわかるんです。とくにアジア系の方の英語は聞き取りやすい気がします。
そこでわたしが、お客様のテーブルの上にあるお食事を指して、「Meals OK
, but other people NO 」と言ったところ、なんと、通じました。
伝わったことに安堵して、「Sorry, I can't speak English well (ごめんなさい、英語が上手く話せなくて)」と言うと、「大丈夫ですよ。あなたの話していること、わたしにはちゃんとわかりますよ。大丈夫大丈夫」という内容を、相変わらず英語オンリーで一生懸命慰めてくださるお客様。
(ありがとう。でも、こちらが言いたいことをスッと伝えられないのが辛いのー、時間がかかって困っちゃうのー、そしてわたしのこのひどい英語を他の人に聞かれるのも恥ずかしいのー)と、一人営業で余裕のないわたしは心で呟きます。
そして、お会計の際に、そのお客様がどこの国からいらしたのか聞いてみました。
英語が苦手なのに、お国はなんだか知りたくて、ほぼ毎回外国人のお客様には「Where are you from?」と聞いてしまうんです。
すると、香港からとのこと。
香港。
行ったことある……と思ったわたしはつい言ってしまいました。
「I have been to Hong Kong about 30 years ago. Food was delicious (約30年前に香港行ったことあります。食べ物が美味しかった)」と。
すると、お客様は「このお店で食べたものもとても美味しかったし、日本の食べ物はみんな美味しい。だから日本が大好き。わたしはもう20回くらい日本に旅行に来ている。本当に日本は素晴らしい」というようなこと(多分)をまくし立てるように英語で語った後、嬉しそうに「香港では何が美味しかった?」とこちらに尋ねてきました。
調子に乗って定型文を口走ったせいで、逆に質問されて一瞬たじろぐわたし。
でも、遥か昔の香港で、すごく美味しかった食べ物がすぐに思い浮かんだので、「お粥! お粥がもう、すっごい美味しかったです!」と日本語で言いました。
当然、そのお客様はポカーンとして、まったく伝わっていない様子。
「えーと、お粥。OKAYU? んー、お粥。ええと……お粥って、英語でなんて言うんですかね~」と、さりげなく店内にいらした他のお客様方の助け舟を期待して呟いてみましたが、どなたからも反応ナシ。
仕方なく、覚悟を決めてわたしは言いました。
「……ライス……マッチ、ウォーター……」と。
そして流れる沈黙。
伝わるワケない。
お粥を形容する英単語はこれ以外にまったく浮かばなかったので諦めて、「All was delicious. Enjoy your trip (全部美味しかった。旅を楽しんで)」と苦笑いで伝えて、お客様をお見送りいたしました。
そして、テーブルの食器を片付けながら、(20回も日本に来ているなら、一言くらい日本語喋ってほしかったなあ)などと、自分の英語力の未熟さを棚に上げて考えてしまうわたし。
後で調べたところ、「お粥」は「porridge」とか「congee」のようです。
「Rice porridge」。
「Rice congee」。
もっと覚えるべき単語が他にたくさんあるけれど、わたしはこうやって経験することでしか覚える気が無いダメな人間です。
今後使う機会はほぼないと思われますが、「お粥」、覚えました!