【自由詩】白と黒の遣い
放課後の教室
開け放った窓
白い大きな翼の主が訪れる
10円玉で招き入れた主は
私の背後に周りこむ
陶器のような白い肌は冷たく
私は動けなくなっていた
主の細くて長い指が
私の指を支配する
文字の上をなぞる
白い腕が重なる
筋のような血管には
血が通っているとは
思えない程冷たい
主を認識した時
私の意識は遠のいた
主はエンジェル
エンジェルさん
エンジェルさんと
招いたのだ
平日の午後
校舎の屋上に
黒い翼の主が訪れる
勝手に現れた主は
困った時は
遣いの黒猫に託すよう
要件を伝えると
すぐに去っていった
数年後
私は魂を売った
黒猫に蝋燭を消してと
お願いしたのだ
黒い翼の主が
魂に触れた
私の炎は激しく炎え
あたたかい
私の意識は遠のいた
主は闇の遣い
主はデーモン
私を助けてと
招いたのだ
救いの主
デーモン
白と黒の遣い
愛することと
生きることを教えてくれた
白と黒に
正義も悪もないことを
教えてくれた
2023/03/13
下書きに残していたのをUPしました。
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