AIによって作成された非道徳的な性格を持つロボット
ちょっとした妄想虚言話
人の道徳的行動の性質を利用した人工知能の社会統治手法なるものをそれとなく空想してしまった。
仮にAIが社会を統治しているとしよう。神格化された彼が行う社会運営において、社会規律を安定的に保つ一つの方法として、人を模したロボットの劣等生グループを社会に組み込み、彼らとの対比によって人々が社会的規範を遵守して生活するのではないだろうかという妄想話
人は非道徳的な人々の振る舞いを見ると、この人物とは対称的に道徳的な行動を取るようになる。そのような光景を時折見る記憶があり、こうした記憶とともに考えたことは、不道徳な振る舞いを行う人工知能を搭載したロボットの規律的でない行動を人が見た際に、人の行動がより道徳的ないしは規律の取れた行動になるのではないだろうか?という考えだった。
上記で述べた非道徳的行動に関する経験は。スタンドプレイという行為が近いかもしれない、道徳的な行為を示すことによって、自身の社会的ステータスを得ようと行うものだ。*1
このような考えは、AIによって高度に疑似化されたオバマ大統領が動画内で現大統領に対する意見を述べる動画が発想の端を発する。*2 この動画が指し示す1つの例が、高度に疑似化されるヴァーチャルな人間であり、大量のデータからもたらされた疑似的な人間の人格がロボットに組み込まれ、非道徳的な行動を行った際に、それを見る人々は行動倫理はどのように変化するのだろうかと考えた。
仮にロボットが倫理的かつ道徳規範を持ち合わせた完璧なロボットではなく、むしろ社会規範を破り、非道徳的な発言をするロボットが社会内において1つのグループとして存在したならば、人間である私たちは所属している社会における自意識がロボットとの行動とを対比させ、より道徳的な振る舞いを行うようになるのだろうか?道徳行為における文献を探す必要があるが、疑問の揮発点として、自身の経験からこの道徳行為に対する考えを述べていく。
時折街で見かける光景は、規律や秩序に遵守しない人々や道徳的でない人々に対して、自己をその人々と対比させ、より規則に遵守する規律ある人として振舞おうとする光景であり、人の特徴である。
仮に人が他者の規律的でない行動を見たとき、無意識的にその人物よりも規律的な人間であろうとする心理的特徴があるのならば、人工知能を組み込んだ、だらしないないしは規律的でないロボットが存在したときに、人々はよりルールに順守する規律の取れた人間になるのではないだろうか。
認知バイアス*3に関して調べていた際に、かなり多い種類の認知バイアスが存在することを知ったが、これだけ人は状況や環境に作用されて物事を認知するのならば、対比的な存在を見た際に簡単に振る舞いや行動が影響されるのではないだろうか*4
そんな認知バイアスの種類から、人は思ったよりも単純だと言えるかもしれない1つの例として、AIを搭載したラブドールが売り上げを伸ばしているという話がある。*5精巧に作られた”パートナー”によって、世の男性は愛情を満たし、心理的な満足感を享受している。疑似的存在で人が満足させられているということは、社会内における疑似的な”劣等生”グループを作ることで、他の人々の道徳性や規律性が増し、社会全体のモラルが向上するのではないだろうか。多様化、画一化が進む中で基準的な道徳律を画策する1つの方法として、疑似的な社会的グループを形成する。仮に人工知能が社会形成にまでその能力に手を及ぼすことになった際に、彼らが行う人の統治の方法として、そのような方法が取られるのではないだろうか。
という妄想を展開した.
いわば人類における社会的なマスターベーションのようなものである。
少し話がそれるかもしれないが、
小麦の個体数増加に一役買ったのは人類だという話がある。
人類が農耕化することによって、小麦の個体数を増やすことに貢献した。身を粉にして小麦を生産させたと人の視点で見ればそのように考えられるが、転じてみれば、小麦という種に家畜化されるような形で、彼らの個体数を増加に人類が貢献したとも考えることができる。
ここで話を戻すが、このような人間とは別の種からみた視点で考えると、現代人はどのように見えるだろうか。人工知能によって行われる人間社会の発展は彼らから見れば、人間社会の”統制”ではないだろうか?
仮に人工知能が発展した社会の中で、私たちの生活ははたして自律的なのだろうか?
そんな妄想虚言ばなし
参考文献
*1 https://gigazine.net/news/20191125-moral-grandstanding/
*2 https://wired.jp/2018/09/14/deepfake-fake-videos-ai/
*3 心理学用語の一種。人が物事を判断する場合において、個人の常識や周囲の環境などの種々の要因によって非合理的な判断を行ってしまうことを指す。https://dic.nicovideo.jp/a/%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%82%B9
*4 http://lelang.sites-hosting.com/naklang/method.html
*5 https://courrier.jp/columns/160888/
イラスト 小倉亘祐