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MBTI/タイプ論とは?

MBTIとは何なのか。原著に立ち返りつつ個人的見解も含め解説します。文献は最後にまとめてあります。基本的に、この文献を読めば十分な知識が得られるため、文献を要約する内容に加え個人的な意見なども交えます。


MBTIの意義とは

 MBTIの考え方を通して得られるのは、自分が外界から感じ取っている情報がいかに偏っているか、ということである。簡単に言えば、自分と他人の違いを学ぶことができる。さらに具体的に言えば、他人との意思相通が円滑に行えるようになる、自分にあった職業がわかる、自分の長所や短所が分かる、などである。ただ注意してほしいのは、MBTIによって人間のすべてを記述できるということはなく、過信しすぎるべきではないということである。ほどよい距離感をつかみ、役に立ててほしいと思う。

 MBTIには非常に抽象的な概念が多く、また自分の認知のずれについて思索を深める(=自分が当たり前だと思っていることがほかの人には全く当てはまらないことを理解する)必要があり、根気強く考える必要がある。誰でもとっつきやすいジャンルとは言いずらい。そのため、このブログではできるだけわかりやすく解説する予定である。

 私自身MBTIについて何年も情報収集を行い、自分の成長に役立ててきた。以降自分の知見をブログにまとめシリーズ化する予定である。

MBTIとは性格診断である

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MBTIを開発した親子の写真。どれが本物かわからないので全部のせる(笑)

 MBTIとは、米国人親子キャサリン・ブリッグスとイザベル・マイヤーズが開発した質問紙法式性格検査である。ユングの提唱したタイプ論(後述)が元になっている。MBTIは権威ある心理学者ユングのタイプ論を利用した検査であり、根拠に乏しい占星術や血液型占いとは全く異なる。MBTIを通し、自分と他人の違いなどを理解し、人格の成長を目指すことが望まれる。個人的には、MBTIはユングの成果を商業使用しているにすぎない為タイプ論原点に立ち返り、あくまでタイプ論が根幹にあることを念頭に置いておくべきであると思う。

 MBTIの質問紙を用いたセッションを開催する権利を得るには、一般社団法人日本MBTI協会の実施している資格を取得する必要がある。私もその資格を持っていると言いたいところだが持っていない。具体的な実施予定や目的がなければ資格獲得のための講習を受けられない為である。また、同協会は有料でMBTIの検査を体験できる講座を実施しており申し込めば誰でも参加できる。

 MBTIは商標であり、同協会が内容を保護していると見てよい。インターネットで遊ぶことができるMBTIを模した診断サイト(16personalityなど)は厳密にはMBTIではない。このようなサイトは自分の性格タイプがなんなのかを大まかに推測するには便利だが、書いてある診断結果の説明はうのみにするべきではない。協会もこのような海賊版サイトを利用した人への注意喚起をホームページで行っている。当然協会にすれば盗難にあうようなものなので怒るのは当然であるが、後述のように性格診断の扱いは非常に難しいため専門的な補助なしに気軽に触れてよいものではないのは確かである。

MBTIは類型論である

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 まず、類型論について解説する前に、類型論の”逆”の方法である特性論について話す。

 特性論とは、早い話がグラデーションである。ビッグ・ファイブ理論に見られるように特徴を連続的なものとしてとらえる方法である。例えば、身長は人によって違うが165cmの人もいれば166cmの人もいる。同じ長さのものさしで高いか低いかどちらに偏っているかでその特徴を捉えられる。明るい性格か暗い性格かといった指標であっても、どの程度明るいかどうかを比較して判断できるため想像しやすいだろう。特性論は科学的にデータを収集しやすいため広く認知されており、MBTIも特性論であると勘違いされやすい。

 MBTIは特性論とは似て非なる類型論によるものである。類型論とはつまり、人々に共通する特徴を分析しグループに分けたものである。例えば、血液型はA型やB型やO型などにきっぱりと分けられ、A型とB型のちょうど中間に分布するAよりのB型なるものは存在しない(医学に明るいわけではないので正確かどうか断言できないがイメージは伝わると思う)。MBTIの仕組みは次の章で具体的に解説するが、属するグループが異なれば全く様態がことなること、MBTIは特性論ではないことを念頭に置いて読んでいただきたい。

MBTIは人間をこのようにグループ分けする

 MBTIの仕組みは非常に複雑であるため、詳細な解説は別のページで行う。本章では簡易な解説に留める。MBTI本来の指針に反する内容が含まれるが、簡易な解説に留めた副作用によるものなので留意されたい。

 MBTIの診断は4つの基準があり、それぞれにおいて2択でグループ分けをする。つまり、2つのグループのうち自分に当てはまるグループを1つ選ぶ試行を4回行うということである。2×2×2×2で16の選び方があるのは説明するまでもない。その16の結果のうちの1つがあなた自身の属するグループ、つまりあなたの”タイプ”であるということである。

自分のタイプと異なるタイプの人とその違いについて対話することにより、自分の得意なことや苦手なことが分かるかもしれない。誰が優れているということはない。違いを尊重しよう。

 どの基準においても、その2択の内どちらかしか使えないということはない。右手と左手に利き手があるように、人間の心にも”利き手”がある。自分の得意な”利き手”がどちらなのかに注目してほしい。

 4つの基準を順を追って解説するので、ぜひメモ用紙などを手元に用意し、自分がどちらに当てはまるかを考えてみてほしい。

あなたは外向型ですか?それとも内向型ですか?

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 ユングのタイプ論でも論じられ、特筆すべきなのが”内向・外向”である。

 内向・外向とは心のエネルギーの向きである。内向型の人間は心のエネルギーが自分自身に向いているため、一人でいることを好む傾向がある。外向型の人間は逆に、心のエネルギーが自分以外に向いているため他人といることを好む傾向がある。内向型の人間は自分自身の価値観や判断を優先する場合が多い(私はいまケーキを食べたい気分なので買いに行こう、等)。外向型の人間はその逆に、一般に広く知られている基準に照らし合わせ判断したり他人の意見を活用したり慮るなどの傾向がある(みんながケーキを食べたいならそうしよう等)。どの人間も内向と外向の機能を使っているが、右手と左手に利き手があるように、日常的に使用する機能がある。自分がどちらなのかがはっきりとしない場合は保留にしておこう。

 私は内向型であるが、人と話すのは好きであるし、人前で話すのも得意だ。だが、人とかかわった後には自分ひとりきりになり充電する必要がある。一人でいることに苦痛はほとんどないが、さみしくなることもよくある。

 これは内気な人間であるとか、活発であるとか、明るい性格である、社交的であるかどうかとは関係がない。あくまでも、自分の心が自分の内側をよりどころとしているかどうか、そうでないかである。私のように社交的な内向型もいれば、物静かな外向型も沢山いる。

 自分が内向型なら英語での頭文字のIを、外向型ならEをメモしてほしい。

あなたは感覚型ですか?それとも直感型ですか?

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 最も説明するのが難しいのが感覚と直感である。

 感覚・直感とは何を感じ取っているかである。感覚型の人間は自分の五感から得られる情報を最も信頼しており、状況把握もしくは記憶に優れた人が多い傾向にある。直感型の人間は逆に想像から得られる情報を信頼しており、未来の可能性の察知や物事の考察に優れた人が多い傾向にある。感覚型の人間は五感に訴えかける色彩に敏感(ファッションであまり失敗しない等)で、地に足の付いた操作が求められる場面(カギを閉め忘れない等)で活躍するだろう。過去や今起こっていることに強い傾向にある。直感型の人間は物事の奥に隠された何か(この映画はギリシア哲学の影響があると何となく感じる等)を感じ取ろうとし、未来に起こる何かを感じ取る(この計画書のまま実行すると失敗するだろうと感じる等)が、逆に記憶力や臨機応変に対応する力に乏しい場合もある。

 感覚型の人間と直感型の人間の感じ方の違いは、たびたびすれ違いを生む。例えば、直感型の人間が斬新な計画を立てたとする。それを精査した感覚型の人間は、予測不能な計画を好まず採用しなかったとする。この場合はどちらが間違っているとも言えない。斬新な考えが進歩をもたらす場合もあれば、そうでないこともある。お互いの長所を合わせ、バランスよく仕事をする必要性があるだろう。

 感覚型に当てはまればSを、直感型ならNをメモしよう。

あなたは思考型ですか?それとも感情型ですか?

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 判断をつかさどるのが思考と感情である。

 思考・感情とは、何を基準に物事を決めるかである。思考型の人間は論理的に物事を判断する傾向にあり、合理的な戦略や科学に強い傾向にある。感情型の人間は自分の感じるハーモニーを重要視し、好き嫌いや思いやりを判断基準にしている。思考型の人間は物事の因果関係のつながりについて興味を持つだろう(研究結果から判断し、自分は夜11時には寝るのが体調を維持するのに合理的という決断をする等)。感情型の人間は、自分が今どうしたいかや自分以外の人がどう思うかを気に掛ける(自分は11時になるともう眠いし寝る気分なので寝る等)。

 思考型の人間は、自分の感情について疎く、また、気まずい発言をしてしまうこともあるかもしれない。感情型の人間は、自分の気分に左右されすぎて、損をしてしまうかもしれない。必ずしも思考型の人間のほうが賢いということは無く、思考・感情は問題解決能力や学力とは関係がない。

 思考と感情は衝突することが度々ある。思考型の人間は、論理的に行動した結果周りの人々の感情をないがしろにすることがあるかもしれない。MBTIを通じて、お互いを理解する努力が重要であると思う。

 この基準で迷う人は少ないだろう。思考型ならTを、感情型ならFをメモしよう。

あなたは判断的態度をとりますか?それとも知覚的態度を取りますか?

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 ユングのタイプ論にはないMBTI独自の基準が判断・知覚である。

 外界から得た情報をまず秩序立てて判断しようとする態度を判断的態度といい、外界で起こっていることを受容し臨機応変に対応しようとする態度を知覚的態度という。

 MBTIがユングのタイプ論を発展させるうえで新設した区分である。私はユングのタイプ論を非常に重要視しているが、MBTIの良さを認めるとすればこの区分がタイプ論を実用的でわかりやすくした点である。別のページで解説する、心理機能の概念と関係する。

 判断的態度を取る人はJと、知覚的態度を取る人はPとメモしよう。

MBTIの診断結果の読み方

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 自分が選んだ機能をメモしたでしょうか。選んだ順番にアルファベットを並べてください。本来であれば、自分のタイプを知るのには時間がかかり、慎重な操作が求められるため、ここで自己診断した結果は参考程度にとどめておいてください。

 一文字目の内向・外向(IもしくはE)はあなたが全体的に見て内向型であるか外向型であるかを示す。

 二文字目の感覚・直感(SもしくはN)はあなたが感覚もしくは直感のどちらから得られる情報を信頼しているかを示す。

 三文字目の思考・感情(TもしくはF)はあなたが思考もしくは感情のどちらから得られる情報を信頼しているかを示す。

 四文字目の判断・知覚(JもしくはP)はあなたが判断的態度をとるか知覚的態度を取るかを示す。

 MBTIにおけるそれぞれのタイプの解説については、誤解を避けるため、別途解説ページを設ける予定である。

 例えば、ESFPとISFPは全体的に内向的か外向的かのみが違うように見えるが、前述の類型論と特性論を思い出してほしい。ESFPとISFPは全く違うパーソナリティを持っており、似て非なるものである。また、その日の気分によって自分のタイプが変わるといったことは無い。加えて、同じタイプに属する人間でも、そのタイプに分析された基準以外の部分に関しては全く別である。インドをイギリスから開放したガンジーと、世界に混とんをもたらしたナチスのヒトラーは、両者ともINFJではないかという見方をする人が多い。MBTIでわかるのはあくまでも、その人間の認知の偏りや判断基準のよりどころの違いである。その人間が何をするかや、その人間の能力をMBTIで推し量ることはできない。

 今回の解説はここまでとして、別途記事を用意していこうと思う。今回の解説は中途半端だが、我慢してほしい。

文献(順不同)

ユング心理学入門は特に、日本におけるユングの分析心理学の第一人者である河合隼雄氏のわかりやすい解説がありおすすめ。タイプ論についての解説もあり勉強になる。

MBTIへのいざないは日本MBTI協会が発行しているいわゆる公式ガイドブックであり、MBTIが好きな人なら持っておきたい。タイプ論での考え方が尊重されているため、ユングの分析心理学に関する書籍を併読すると理解が深まる。
日本MBTI協会ホームページ




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石田さば丸
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