日常を語るスタンダップコメディと言う話芸
新しい話芸の形(あえてこう書く)、スタンダップコメディに出会い、3年くらい。
そして、日本スタンダップコメディ協会にディレクターとして参加させていただき、もう2年くらいになる。
最初、海外ではメジャーな社会風刺的に「言葉の力」で世間を、演者の視点で切り取っていくと言う芸風だとは知りもしなかった。
協会会長の清水宏さんや、ぜんじろうさんと言った、尊敬する先輩方の背中を見ながら、その「言葉が世間を切り取って芸として成立させていく」姿に衝撃を覚えた。
単なる世の中を切るのではなくて、1つの芸として成立させるすごさ、そして、「こんな知的なコメディがあったのか。」僕がこのジャンルに初めて触れた時に感じた素直な言葉。価値観を新しく発見することができた。
これは新しい自己表現の形であり、文化人類学みたいな物なのではないか・・・先輩方の凄まじい話芸に触れながら公演をご一緒させていただき、僕は日々、実感している。
インコさんと言う芸人と出会って、もう5年になる。
最初は、下北沢のOFF OFFシアターと言う劇場で、偶然彼の主宰する実弾生活のオムニバスコントを見て、
「こんな風に時代を切り取ることができる人がいるのか!」と言う衝撃から、「この人の脳内を知りたい」と言うクリエイター的な知的欲求からご一緒させていただくことになった。
そこには、演出家で、劇作家で、劇団フルタ丸の代表を務めるフルタジュンと言う人もいた。
僕たちは、とにかく何かしらのストーリーを来場していただいたり、触れていただける人たちに見せたくて(感じて欲しい)、公演を作っている。
圧倒的な話芸を見せたくて、僕たちも見たい。その一心だったりする。
2019年、僕たちは本多劇場で満員のお客さんの前で公演を行うことができた。
そしてあのウィルスが蔓延している2020年は羽田空港という会場での公演がありがたいことに成功した。
年に1度の大きな公演だけではなくて、ただ、公演するわけではなく、映像や音楽と組み合わせることで、
普段の毎日の出来事を感じてもらう演出がしたい。体験を提供したい。
そんな時に出会うことができたのが八丁堀にあるホテル、「WISE OWL HOSTELS TOKYO」の地下にある、クラブ的なバースペース、
「WISE OWL HOSTELS TOKYO B1F SOUND&BAR HOWL」だった。
ターンテーブルのDJ機材に、抜群の音響、2台のプロジェクター。その環境であれば、自分たちが表現の幅を広げることができるかもしれない。
そんな思いから、定期的に開催したい会場として利用させていただいたのが2020年の2月。
とにかく、会場に入った瞬間に音と、映像で日々の喧騒を忘れて没頭しながら「言葉」を感じて欲しい。
その気持ちで音楽も映像も選んでいる。
2021年2月28日、僕たちSTUDIO153は、新しい取り組みとして、
与座よしあきさん、かもめんたるの槙尾ユウスケさんにお声がけをして、「TACHI-BANASHI」というスタンダップコメディ公演をスタートさせた。
それぞれの個性を活かした話芸を、同世代ならではの感覚で共通項をお客様に見出してもらいたい公演。
結果、大成功だったのではないかと思う。
三者三様の視点で語られる僕らの生きている社会。
やっぱり、スタンダップコメディは、「日常のよく見る光景」を、プロの視点で磨き上げられるジャンルの話芸だと感じた。
そして、「ただの面白い話題」が、再現性のある芸に昇華されるのだ。
こんな素敵なエンタメ、なかなかないと思う。
3/5から、アーカイブ販売が見ることができます。
良かったら見てみて欲しいです。
きっと、退屈な毎日の中で見えている光景も、「こんなに知らない発見に満ち溢れていたんだ」そう思ってもらうことができるかもしれません。
次回は5月29日です。落語家の立川談吉さんとインコさんの2人会です。
その時、またお会いしましょう。
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