見出し画像

《元ANA×JAL×外資CA講師連載》国内or外資系エアライン、機内手荷物の扱いはこれほど違う

日本国内で飛行機に乗ると、お客様の荷物を客室乗務員がお手伝いしている光景を目にすることがよくあります。私も国内系エアラインCA時代は、自らすすんでお手伝いしていました。

しかし外資系エアラインCA時代は上司から、

「『重すぎる荷物は私たちキャビンクルーにも持ち上げられません。そもそも荷物収納のお手伝いは私たちのお仕事に含まれていません』とお客様にはっきり言いなさい。そうでなければあなたが腰を痛めてクルーライフがすぐに終わる」

と教わりました。

日本のエアラインではあり得ない対応に、私は思わず「え、それお客様にお伝えしてもいいの?」と上司に聞き返した記憶があります。

するとその上司、「それでも言うことを聞かないお客様の荷物はすぐオフロードしなさい」と。

「オフロード(OFFLOAD)」、つまり荷物を降ろす。

なんて強い言葉…!と最初は驚きましたが、それも会社の方針です。

もちろん特別なサポートが必要なお客様については、例外。みんな自らすすんでお手伝いします。

お客様に対しても「No は絶対 No」という社風は、客室乗務員としては働きやすいですが、日本国内ではありえない対応に日本人の私としては最初は若干申し訳なさも感じました。

ただ、たしかに客室乗務員にとって腰は命。壊すと癖になり、場合によっては2度と乗務できなくなります。そのことを考えると会社の方針にも納得。

基本的に「手荷物は自分で頭上の収納棚に入れてね」とのスタンスは、外資系エアライン経験者の方であれば、きっと“あるある”だろうと思います。

実際に客室乗務員はお仕事柄、腰痛持ちの方が多いため、外資系のサービス訓練では「いかに腰に負担をかけずに作業を行うのか」との細かい指導もありました。

お客様の重たい荷物の話だけではなく、サービスカートやギャレーにあるコンテナなど、とんでもなく重たいものをフライト中は何度も何度も取り扱います。

国際線のミールカートは最大で1つ150kgにもなることがあります。どのエアラインであっても、その環境は変わりません。

エコノミークラスでは、上昇中のキャビンのなか、1人でそのカートを機尾から機首側に向かって運ぶことも日常茶飯事でした。長い上り坂で、150kgのカートを引っ張り続ける状態です。

さらに気流が悪いなかでのミールサービスとなると危険も伴い、慎重にカートを操作しなければいけません。

お客様の荷物の上げ下げのみに関わらず、カートの取り扱いなど、客室乗務員は腰を痛めてしまうことも多いのです。

これから客室乗務員として乗務される方、どうか腰を大切に守ってください。心身ともに健康に、長くフライトができることを願っています。

最後に、《CA.jp》では客室乗務員やグランドスタッフを目指す方向けのオリジナル対策コースをご用意しております。ご興味がございましたら、ぜひ下記の公式サイトリンクからコースの詳細をご確認ください。

《CA.jp》公式サイト『コースのご案内

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集