ポジションを取りに行け!
超高額ケーキを作れ!
うちは忙しい時にいとこに手伝いをお願いしているのですが、彼女は普段町のケーキ屋さんで働いています。
田舎の小さな町ですので、ケーキ屋さんの数は少なく、働いているお店は町の誰もが知っている老舗のケーキ屋さんです。
先日、いとこがケーキに値札を書いていると、「そんなに高いとケーキが売れないよ」と怒られたそうです(勝手に値段を決めたわけではありませんよ。シェフと奥さんで確認が取れていなかったようです。)
シェフはケーキは高いと売れないと思っていたようです。
その話を聞いて、僕はいとこに「違うよ、その逆でもっと高いケーキを作るんだよ。」とアドバイスをしました。
具体的にどういうことかというと、
①ハロウィンだけの特別受注生産で3万円くらいのケーキを作る(限定1個)
②この「1年でたったの1個しか生産しないケーキ」をブランド化する→初セリの1番マグロのように
③他のどのケーキ屋さんも作っていないので、来年以降も「ハロウィンといえば◯◯のケーキ」が秋の風物詩として定着。
④「今年は誰があのケーキを買うんだ?」とハロウィンのたびに話題になる
ざっくり言うとこんな感じの流れです。
これって今ではわりと当たり前にやっている戦略ですよね。
数をあえて減らすことで希少価値を高めて単価を上げるっていう手法です。
この手法は、飲食業界では特にケーキ屋さんなんかに向いているなぁと思うんですよね。
理由その1
ケーキはプレゼントやおみやげの需要が高い→自分が食べるには高いと思っても人に渡すものとしてなら手を伸ばしてくれる。
例)乃がみの食パン
理由その2
ケーキ屋さんは季節ごとのイベントに関連づけやすいため、「◯◯といえば」のポジションを取りやすい→ハロウィン、クリスマス、ひな祭りetc
よって希少価値を高めるための季節限定を演出しやすい。
理由その3
フルーツを使っているので単価を上げやすい→高額な品種はお客さんも認知しているため、単価が高くても納得して買ってくれる。
例)お寿司屋さんのウニやマグロ、アワビなど
300円のケーキを100個売るより3万円のケーキを1個売る方がラク?
これはあくまでも考え方の一例としてお話しします。
例えば「300円のケーキと3万円のケーキ、どちらが売れると思いますか?」と聞かれたら誰だって300円のケーキと答えるでしょう。
でも、質問を変えて、「どちらかのケーキを使って3万円の売り上げを作ってください」と言われたらどうでしょうか?
単純に同じ売り上げを作るためには方や100個売らなくてはいけませんが、もうひとつの方はたった1個売るだけです。
製造のことも考えるとその労力はもしかしたら3万円のケーキをひとつ売る方が楽かもしれませんよね?
しかももし50個しか売れなかったら残りの50個は全て在庫となります。
来年のハロウィンまで取っておければ良いですが、ケーキは生物なのでそうはいきません。
ハロウィンを1日でも過ぎてしまえば利用価値は一気に(というかほぼゼロに)減ってしまいます。
もちろんたった1個でも3万円のケーキを売るためにはかなりの戦略や宣伝が必要なのは言うまでもありません。
これはあくまでもひとつの考え方です。
始まりは「ノートを集める係」
この話をしていて、僕は自分の高校生の頃のことを思い出しました。
当時僕は野球部だったのですが、補欠の補欠。
実戦練習をさせてもらえず、素振りや玉拾い、グラウンドの外周を走るなどのグループにいました。
せっかく調子が良くても監督が見ているのはいつもレギュラーメンバーの方。
ある時たまたまレギュラーメンバーとペアを組んだことがあったのですが、僕が打つ番なのに「代われ」と言われ、ずっとボールを投げていたなんてこともありました。
その時の悔しさは今でもはっきりと覚えています。
そんな補欠の補欠も唯一レギュラーメンバーと同じことをするものがありました。
それが毎日の練習日誌です。
レギュラーメンバーは(というか、ほぼみんな)この練習日誌をいつもサボって書かずにいました。
書いたとしてもサラッと適当に書くだけ。
僕はここに目をつけたのです。
その日から僕は練習中はいつもポケットにメモ帳を入れていました。
気づいたことがあればその場ですぐにメモ。
なんせ玉拾いと言ったって毎回全てのボールが自分のところに来るわけではありません。
考え事をしたりメモを取る時間はいくらでもありました。
次第に僕の練習日誌は充実したものになっていきました。
時には図や絵を描いたり、チームに対する自分の意見を書いたり。
気づけば毎日余白までびっしりと黒く埋まっていました。
するとそこから流れが変わり始めたのです。
監督室に呼ばれ、「お前明日からノートを集める係になれ」
これが僕に与えられた最初の仕事になりました。
そのうち「提出率が悪いからお前がノートを書かせろ」や「次の日に学校で書くんじゃなくて、ちゃんとその日のうちに家で書かせろ」と監督からの注文がどんどん増えていったのです。
僕もその頃には監督と話をすることに抵抗がなくなっていたので、「先生がいつも僕に赤線を引いてくれるように、もっとみんなに線を引いてあげたらモチベーションが上がるのではないでしょうか?」
と、提案したのです。
その時は「バカヤロー!おれはなんでもかんでも線を引いてるんじゃない。良いと思ったところにはちゃんと引いてる。」
と、怒られてしまいましたが、監督から話しかけれることなどほとんどなかった補欠の補欠がいつの間にか監督室で毎日会話をするようになったのだから劇的な進歩でした。
これが僕の成功体験となり、のちに僕はキャプテンとして創部以来初めて甲子園の土を踏むこととなりました。
2年半スタンドで太鼓を叩いていた男の嘘みたいな本当の話です。(これについてはまたいつか)
コアなファンに向かってアピールしろ
ケーキや僕の学生時代の話はあくまでも例えの話ですが、どの業界もポジションを取るということは非常に重要なことだと思います。
これだけサービスや物の価値での差別化が難しくなった今、モノの売り方はますます少数のコアなファンに向かっていくことになるでしょう。
単純に利益を維持するためには売れる人数が減るのだから単価を上げるしか方法はありません。
ではどうやって単価を上げたら良いのか?
それは「何を売るか」ではなく、「誰が売るか」もしくは「誰からなら買いたくなるか」に思考を変えていかなくてはいけません。
そして自分がどのポジションにいるかによってその売り方、売れ方は大きく変わってきます。
だからこそ、シェアが小さくてもトップを取れるポジションや商品をさらにブランド化しといくことが大切です。
まとめ
・自分がトップを取れるポジションはなにか?→ハロウィンの超高額ケーキ
・誰もが手を出していないもので、なおかつ需要が見込めそうなジャンル、商品はないか?→練習日誌を真面目に書く
・たくさん売れなくてもコアなファンに毎回届く商品を作る→単価を上げるためのブランド化
僕も〇〇といえばたか橋。
そんな何かを生み出していきたいと思っていますが、それがなかなかね…
ケーキ屋さんがやらないなら僕がハロウィンのケーキやっちゃおっかな(笑)
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