『食べるのがもったいない』は褒め言葉か。求めるのは「味」映え。
◼️茶色は、美味いもの
紅茶、コーヒー、タピオカ、
クッキー、ティラミス、チョコレート、
ドーナツ、アイスクリーム、アップルパイ、
スコーン、ベイクドチーズケーキ、
ルーロンハン、カレー、唐揚げ、
焼きそば、麻婆豆腐、パクチー。
私の好きな食べ物である。
これら全てが、
ひとつのテーブルに乗っている、
と想像してほしい。
(「胸焼けする」との意見には同意する)
私の好きな食べ物は、
字面で見ると、結構華やかだが、
ビジュアルで見ると、かなり地味である。
色彩が、圧倒的にパッとしない。
大方、ベージュ~茶色に収まる。
スイーツ各種のトッピングを除けば、
パクチーの緑と、
焼きそばの紅生姜の赤くらいしか、
鮮やかな色合いは、ない。
私にとっての、
美味しいものとは、茶色い食べ物
なのである。
◼️ハイヒールは、履き物
以前、テレビの画面越しに、
超リアルなハイヒールの形をした
美しいチョコレートを見た。
カカオ特有のビターで甘い香り
ではなく、
雨の日に漂う革独特のにおい、
ストッキングとの熱いコラボの余韻
が、頭の中いっぱいに広がった。
口には、入れたくない…。
と思うチョコレートを、
生まれて初めて見た瞬間だった。
革のような、金属のような、
テッカテカのチョコレートなど、
ディテールが食品以外のものに
近づけば近づくほど、
食欲はそそられなくなる。
食品、との認識が薄まるからだ。
超リアルなハイヒールチョコは、
食べてもらうことを
第一目的としておらず、
話題性とインパクトを
狙ったものであろう。
その点では「うまい」と思う。
◼️『食べるのがもったいない』
は褒め言葉か。
とても美味しそうな
(見ただけで旨いと確信できる)
料理を目の前に、
『食べるのがもったいない』
というセリフは出てこない。
(少なくとも私は)
料理人の方々が
心血注いだ技術とアイディアに対して、
大変失礼な意見になる(申し訳ない)。
料理の見た目に、
私は、アートを求めていない。
既知の(美味なる)味に、
未知の食感やバリエーションが
プラスされているであろう、
と想像し、期待した時に、
「美味しそうだ」と感じる。
形が整ってなかろうが、
不細工だろうが、気にならない。
素材と調味料、調理方法の組合せ、
愉快な歯ごたえを想像させる
素朴な焦げ目など、
そういったものに
圧倒的な不可抗力を感じる。
私は、料理の見た目に、
美ではなく、味覚に直結する、
視覚情報を求める。
「味」映え
を求めているのだ。