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フィルモア通信 New York

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2020年10月の記事一覧

フィルモア通信 New York DUANE PARK CAFE Chef SEIJI MAEDA and RICHARD OVERHOLT  トライベッカの乾杯と死

フィルモア通信 New York DUANE PARK CAFE Chef SEIJI MAEDA and RICHARD OVERHOLT  トライベッカの乾杯と死

セイジさんと仲間たち

 ニューヨークに来て十年目くらいの春か夏、週末は相変わらず忙しいデュエンパークカフェ、誰もが認める本格レストラン、ファインフード、ファインサービスなのにカフェという名前をつけたのはセイジさんが誰にでも親しみやすく気軽にワインや料理を楽しめるようにと、値段も、提供している酒や料理のコスト品質を考えると格段に破格のレストランだった。
 
 グラマシーパークのヒューバーツレストラ

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Dallas Texas 九月の熱い日々

Dallas Texas 九月の熱い日々

 これは下書きで、本来人に見てもらえるような構成とか物語になってないと思います。しかしnoteさんの呼びかけに恥を承知で応じてここに出させてもらうのは、やっぱりこのご時世、いつ自分も明日がなくなるやもしれないと、いつまでたっても子供騙しのような小さな物語の断片を、空中に塵と消えるに任せるよりはせめてこの電気の流れのなかに留めたいと願うからです。物語のなかの人たちは確かにそこに生きてぼくらに語りかけ

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フィルモア通信 New York Seiji&Huberts going going gone.

フィルモア通信 New York Seiji&Huberts going going gone.

セイジ、ニューヨークタイムス、ぼくらの手

 セイジさんは日本の大企業から在米駐在としてニューヨークにやってきた。そして何年か後アメリカ永住権を取得して会社を辞め、四十歳を前にして料理の道に入った。当時アメリカでは最高峰の料理学校、ニューヨークアップステートにあるCULINALY INSTITUTE OF AMERICA 通称CIAは授業料も高く基本的に全寮制なので除隊補助でもないと自力でやるしか

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フィルモア通信 New York No 25 カレン・ヒューバート、ジャクリーン・ケネディ・オナシス夫人の赤いスーツ。

フィルモア通信 New York No 25 カレン・ヒューバート、ジャクリーン・ケネディ・オナシス夫人の赤いスーツ。

 カレンは文才があり、自分のレストランのマダムとして昼夜ダイニングルームを取り仕切りながら自分の本の執筆にも忙しかった。ぼくが早めのランチシフトでキッチンに入る頃に、犬のラルフと彼女は散歩から帰って来た。
 ラルフがいつも決まった所で立ち止まりくんくんやって用を足すのが彼のニュースペーパーを読むことなのだとカレンは教えてくれた。

 そうか、ニュースペーパーだったのかとぼくはかねがねニューヨークの

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Seiji’s Duane Park Cafe 最高の一皿

Seiji’s Duane Park Cafe 最高の一皿

リブアイステーキ、クリスピースケート、セイジ・マエダそしてレナート 

レナートは17歳の冬をニューヨークで迎えた。メキシコからの国境をどうにか越えてやって来た。

 デュエインパークカフェはトライベッカの南、ウエストブロードウェイをデュエインストリートの東に折れてすぐに柳の植え込みが目印となるアイリッシュグリーンにペンキが塗られた古いアパートメントの一階にあり、1ブロック西にデイヴィッド・ブレの

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