アニメで学ぶ物語文の読解力向上講座の連載、始めます。(プロローグ 2 of 2)


(前回の記事=プロローグ前半はこちら

こんにちは、中受ママサポです。「アニメを使った物語文の読解力向上方法」をご紹介する連載のプロローグ・後半です。今回は

 1. 国語力をつけると中学入試で有利になる理由 (←前回の記事)  
 2. 国語の中でも物語文の読解に力を入れたいわけ   
 3. なぜアニメを使った物語文の読解力向上を薦めるのか

についてお話します。


国語の中でも物語文の読解に力を入れたいわけ


論説文は難しそうに見えてもコツをつかめば解答しやすい

中学受験の国語で出題される長文読解問題には

  ・ 論説文
  ・ 物語文
  ・ 随筆文

の3種類があります。これらの中で、論説文は「大人のことば」で書かれているため難しそうに見えますが、コツをつかめば実は解答しやすいことが多いです。その理由のひとつは、こちらのツイートをご覧ください ↓


論説文が比較的解きやすい理由としてもうひとつ見逃せないのは、論説文の読み方――具体的には、(1)接続語に注目して文章や段落同士の関係を読み解く、(2)指示語が指している内容を正確につかむ、(3)段落ごとの要点をまとめる→(4)文章の構造を理解する、(5)全体の要旨をまとめる――などの練習は小学校の授業でも何度も行っているということです。


■小学校では
物語文の「正しい読み方」は教わらない

え?物語文だって小学校でかなり時間をかけて学習しているでしょ?と思う方がおられるかもしれません。しかし、実は必ずしもそうではないのです。

小学校の国語授業では、物語文は感覚的に、あるいは鑑賞として読まれていることが多くあります。

感覚的な読みとは、明確な根拠に基づいていない読みです。たとえば小学校の授業で「登場人物はどんな性格だと思いますか?」と先生が質問すると、文章に書いていないことを自由に想像したり、自分だったらこう考えるからと回答したりする生徒が出てきます。こうした読み方は本来誤りなのですが、小学校ではそうした発言も「ああ、確かにそういう考え方もあるよね」などと肯定的に受け止められますし、根拠がないからという理由で却下されることはほぼありません。

そして鑑賞としての読みとは、文章を一読しただけで感想を書かせたり”感じたことを自分らしく絵に表す喜びを味わわせる”などの作品を「味わう」ことを目的とした読みです。こうした国語の授業の結果、物語文は表面的な理解と「感動した」「かわいそうだと思った」「戦争はいけないと思った」などのおおざっぱな感想だけで終わってしまうことがよくあります。


なぜアニメを使った物語文の読解力向上を薦めるのか


■やさしそうに見えて正確に読むのは難しい、それが物語文

感覚的な読みはダメ、鑑賞としての読みもダメ…となれば物語文はどんなふうに読めば良いのでしょうか?その答えは「明確な根拠に基づいた読み」、つまり、本文中から解答の根拠を見つけ出す読み方であり、その部分は論説文の読み方と同じなのです。

ただし、物語文には論説文のようにわかりやすい目印(例:接続語)はありません。加えて文章の構造も複雑ですので、解答の根拠を探すのはそう簡単ではありません。 ↓


にも関わらず、物語文は論説文と比べると(ぱっと見では)読みやすい文章が多いこと、また、小学校でも解答の根拠を探す読み方はあまり教わらないことを受けて、お子さんもなんとなく読んで「わかった」「理解できた」と思いがちです。結果、テストでは思い込みによる間違いや「なんとなく解いて不正解」を連発してしまう――物語文で得点できないお子さんは、こうした状況に陥っていることが多いです。


■物語文特有の語彙を使いこなせるようになることも必要


物語文を正確に読めるようになるためのもうひとつの鍵が、語彙です。↓

もちろん、これらの語彙は塾でも問題演習や教材を通じて習得をうながしていますし、独自の教材で学習しているお子さんも多くおられます。しかし、思ったように身についていないという悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。


■良質なアニメを使えば、物語文の読み解き方や語彙の習得が楽になる


物語文を正確に読めるようにすることも、読解に必要な語彙を身につけることも難しいってこと?じゃあどうすればいいの?――そんなお子さんにぜひご提案したいのが、良質なアニメを使った物語文読解の練習です。↓

たとえば、以下のツイートでご紹介した3分35秒の動画「ポレットのイス」をご覧ください。  

   ・ 登場人物の動作や行動
   ・ 登場人物の表情や態度
   ・ 天気や象徴などの情景描写

の3つに注意して丁寧に視聴すれば、物語文の読解で最も大事な「登場人物の心情」と「心情の移り変わり」を読み取ることができますよ。


長々と書いてきましたが、プロローグはこれで終了です。
次回から、実際のアニメーションを使った読解練習の方法をご紹介していきたいと思います。

最初の教材は「宇宙よりも遠い場所」第1話です(Amazon Prime等で視聴できます)。次回もどうぞお楽しみに!

2019.03.31追記 
「宇宙よりも遠い場所」第1話-1公開しました。こちらからご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?