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常春の島
東京島嶼は武骨な感じがする。
深い海、岩場のビーチ、原生林、固有種、火山、濃い青。
燦々太陽の元に不釣り合いな品川ナンバーがちろちろ走る。
どうあがいたって、人間じゃ敵わない。叶わない。
そんな島々に憧れて焦がれてきた。
常春の島、八丈島。
東京湾から300km。
飛行機で羽田から45分。
竹芝桟橋から一晩かけてゆく船旅はとても贅沢だ。
携帯の電波が届かない月夜、目が覚めると少し暖かい風、飛び魚のジャンプ、波を分け進むリズミカルな船音、水しぶき。
島では電動自転車を借りて、シュノーケリングを背負って、海岸線をぐるっと走る。
溢れんばかりに鮮やかな夏を、めいいっぱい浴びた。
眩しすぎて、あのまま焼け焦げて消えてしまえたらと思った。
もちろん現実にはそんなことはあり得ないこともわかってた。
青臭い感情だなぁ、と思うものの、あのヒリヒリするような感覚は、上手く付き合えるようになっても、年をとれば消える類いのものではないらしい。
今だって島々が大好き。
行けなくても死なないけど、それでも憧れて焦がれてるのは変わらない。