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病気がわかる前の父——普通に過ごしていた日々【パーキンソン病治すぞ!】



目次
1. まさか父が病気になるなんて
2. 仕事熱心だった父の変化
3. 父の中にあった、言葉にしないストレス
4. 昔から、周囲に愛される父

1. まさか父が病気になるなんて

父が病気になるなんて、思いもしなかった。

仕事熱心で、真面目で、いつも家族を支えてくれる存在だったから。
健康に気を使い、休みの日にもランニングや運動をして、体力にも自信があったはずだった。

「うちの父は、きっとずっと元気でいる」
そんな風に、なんの根拠もなく信じていた。

でも今思えば、その「元気」が少しずつ変わっていったのは、ある時期からだったのかもしれない。
なんとなく「最近、前と違うな」と思うことが増えていた。
それでも、私たちは「まぁ年齢のせいかな」と軽く流してしまっていた。

まさか、それが病気の兆候だったなんて、当時の私は考えもしなかった。
 

2. 仕事熱心だった父の変化

父は本当に仕事熱心だった。

朝早く出勤し、夜遅くまで働くのが当たり前。
休日も仕事のことを考えているような人で、「どれだけ頑張るんだろう?」と娘の私が思うほどだった。

そんな父に少しずつ変化が見え始めたのは、ここ数年のことだった。

ある時から、「定年まであと◯年」とカウントするようになった。
それまではそんなこと言ったことがなかったのに。
まるで、あと◯年頑張れば終われる、と言っているように感じた。

それだけじゃない。

仕事に対する熱量も、少しずつ変わっていったように見えた。
以前の父なら、どんなに大変な状況でも「やるしかない」と前向きだったのに、、、。

あの頃、私は「気持ちの問題なのかな」と思っていたけれど、
もしかすると、すでに体が思うように動かなくなり始めていたのかもしれない。

3. 父の中にあった、言葉にしないストレス

ここからは私の憶測だけれど、
父は言葉には出さなくても、いろんなストレスを抱えていたのではないかと思う。

仕事の世界は、どんなに頑張っても自分の思い通りにいくとは限らない。
努力が報われないこともあるし、後輩がどんどん出世していくこともある。
長年築いてきた自分の立ち位置が、少しずつ変わっていくのを感じることもあったかもしれない。

そして、仕事以外にも、大きな出来事があった。

父の母——私の祖母が病気になり、亡くなったこと。
ずっと元気だった人が、突然弱っていく姿を見るのは、きっと辛かっただろう。
自分の親が老いていくのを目の当たりにすると、無意識のうちに自分自身のことも考えてしまうものだ。

私には何も言わなかったけれど、
父の中では「もしかして、自分も…?」と、不安が生まれていたのかもしれない。

だけど、父はそういうことを表に出さない人だった。
私たち家族にはいつもと変わらない姿を見せてくれていた。

だからこそ、気づくのが遅れてしまったのかもしれない。

4. それでも、周囲に愛される父

そんな父だけれど、周囲の人たちからは本当に愛されていた。

仕事仲間や友人たちは、何かあるたびに父のために集まってくれた。
勤続のお祝いの席では、みんなが父を囲んで、笑い合う光景が当たり前だった。

パーティーが開かれるたびに、
「これ、◯◯さん(父の名前)のために用意したんだよ!」と、
驚くようなプレゼントをもらうこともあった。

父は、ただ仕事が好きだったわけではなく、
人として愛される人だったんだと、今になって改めて思う。

そして、そんな父のことを、私の夫もとても気にかけてくれている。
「お父さん、最近どう?」と聞いてくれたり、
ちょっとしたことで父を笑わせようとしたり。

父も、それが嬉しいのか、夫と話すときはどこかリラックスしているように見える。

バリバリ仕事をする父の姿は、もう長くないかもしれない。
でも、父の周りには、変わらずたくさんの人がいる。
それが、父が今まで積み重ねてきたものなのだと思う。

普通に過ごしていた日々。
あの頃は、まさかこんな未来が来るとは思っていなかった。

でも、たとえ病気という現実があったとしても、
父は父のまま、愛される存在であり続けている。

私はそんな父のことを、これからも見守っていきたいし、
父がこれまで私にしてくれたように、今度は私が支える番なのかもしれない。

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