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CBDと鬱(うつ)②

 今回はCBDと鬱(うつ)というテーマで後半の内容になります。
多くの論文を見るとこういった精神疾患やストレス等による抑うつ状態に対してCBDは非常に効果的な事がわかってきています。

 CBDの大きな作用として抗炎症作用があり、体内の炎症レベルを下げる事によって、睡眠の質が向上したり、体の痛みや慢性痛に対して緩和する効果があり、間接的にかつ相対的に気分が良くなるものだろうというイメージをもっていましたが、それだけではなく脳・神経系の受容体にも作用することで直接的に効能を発揮する事もわかってきます。

内因性カンナビノイドシステムが抑うつ症状の早期改善の鍵である

目的:抑うつ症状を早期に改善させる治療法と内因性エンドカンナビノイド

内容
・現在の抑うつ症状治療薬として頻繁に用いられているSSRIは、その効果発現まで2-3週間を要するという問題点がある。

・SSRI以外の治療法としては、反復的経頭蓋磁気刺激法、深部脳刺激、睡眠遮断、ケタミン、運動などがあり、これらは数時間~1週間という短い期間で抑うつ症状を改善することが報告されている。

・これらの代替的治療法はすべて内因性エンドカンナビノイドシステムのシグナル伝達効率の改善を伴うという共通点がある。

・また内因性カンナビノイドシステムのシグナル伝達改善にはBDNF(脳由来神経栄養因子)の増加も関係していることが報告されている。

・ケタミンは麻酔薬として用いられているが、低用量であれば抑うつ症状の急速な改善効果があることが報告されている。

・ケタミンによる抑うつ症状の改善機序としてAMPA受容体の活性化が関与していると考えられているが、CBDによる抑うつ症状改善においても同様の機序が関与していることが考えられている。

・動物実験からはCBDの抑うつ症状改善効果があることがエビデンスとして確立されている。

・CBDの抑うつ症状改善効果には用量依存性(用量が増えると効果も大きくなること)があることが示されており、動物実験では、CBDの10mg/kgの抗うつ薬様効果が出現するのに2週間を要するのに対し、50mg/kgの高用量では、初回の投与からすぐに改善効果が生じることが報告されている。

・またCBDは古典的な抗うつ薬と比較しても急速な改善が生じることが報告されている。

このように急速な抑うつ症状改善には内因性カンナビノイドシステムの変化が関係しており、抑うつ症状の治療に際しては重要視されるべきであると考える。

出典元

 SSRIのような抗うつ剤は効果を発揮するまでに2週間程度必要だが、内因性カンナビノイドに直接働きかけるCBDはある程度高濃度で摂取をした場合には即効性があり、低濃度の場合は期間が必要となるようです。通常の健康補助としては低濃度でいいかと思いますが、悩みが深い方にはやはり高濃度で摂取した方が、体感が早いという事になります。

様々なメーカーさんや書籍では低濃度からゆっくりと自分に合った容量を見つけましょうという記述や説明が多いですが、安全性が高い成分の為、最初からある程度高濃度でトライしてみる方が効率がいいのでは?と最近は感じる事が多くなりました。

CBDの抗うつ作用は幅広い反応を介している

目的:CBDによる抗不安・抗うつ効果について現状の知見の概説を行う。

内容:
・多くの動物実験からCBDには抗うつ効果があることが示されている。
しかしながらヒトを対象とした臨床研究は非常に少なく、大麻依存症者を対象にした研究がいくつかある程度である。

・ラットを使用した実験からはCBDの抗うつ効果は、ラットの種類、雌雄の違い、年齢、投与経路、時間経過(急性投与もしくは慢性投与)で、それぞれ異なることが報告されている。

CBDは内因性カンナビノイドシステムのみならず、非常に多岐にわたる分子(65種以上)に影響を与えることが知られている。

・下図に上げるようにCBDは神経可塑性、神経新生、神経保護にかかわる様々なシステムに影響を与えることで抗うつ効果を生じされていることが考えられる。

・臨床研究としては双極性障害患者を対象にしたCBD実験が現在進行中(被験者数100名、CBD (150~300mg/日を12週間)であり、2022年4月に終了する予定である。

・CBDは副反応や依存性も含めデメリットが少ないため、今後のさらなる臨床研究が望まれる。

出典元

 CBDを使用した臨床実験というものは現在世界中で行われているのですが、まだまだその結果が明らかになっていなかったり、現在実験中というのが実情ではあります。こちらの実験も今年の4月に終了しているという事でどんな報告が上がってくるかこれからがまだまだ楽しみですね!

 その効果機序のすべてはわかっていませんが、効果と安全性に関しては既に臨床結果より理解が進んでる事になると思います。エンドカンナビノイドシステムだけでなく65種類以上もの反応を身体の中で起きていて、それらが神経を保護したり、炎症を抑えてくれたりしてくれているという事が明らかになってきています。


CBD抗うつ効果は脳内セロトニン濃度に依存する

目的:CBDの抗うつ作用の特徴についてラットを用いて明らかにする。
方法:
対象:生後8週の雄マウス
素材:CBD(3,7,10mg/kg)、生理食塩水、
   抗うつ薬(SSRI、三環系抗うつ薬)

回数/期間:上記用量を2週間
評価:第一・第二実験ともに強制水泳試験およびオープンフィールド試験

備考:実験の主目標はCBDと抗うつ薬のかけ合わせ効果の検証。
第二実験では脳内のセロトニン、もしくはノルアドレナリン濃度を低下させる薬物を投与して行った。

結果:CBDは投与量依存的に(投与量が増えるほど)抗うつ効果があることが示された。

抗うつ効果の生じない量のCBDと同じく抗うつ効果の生じない量の抗うつ薬を同時に与えることで、抗うつ効果が生じた。

薬物によって脳内のセロトニン濃度を低下させた状態でCBDを投与すると、抗うつ効果が生じなかった。
考察:
無効量のCBDと抗うつ薬の掛け合わせで抗うつ効果が生じたことから、CBDと抗うつ薬は相乗効果を生じることが考えられた
脳内のセロトニン濃度が低下するとCBDの抗うつ効果が消失したことから、CBDの抗うつ効果は脳内のセロトニン濃度に依存することが考えられた。

出典元

 前回のCBDと鬱(うつ)の記事にも書きましたが、CBDは抗うつ剤と併用することで相乗効果を促し、薬の効果を高めて減薬する事が可能になる事を期待する事が出来ます。また脳内のセロトニン濃度が低い場合に効果が表れにくかったという事で、SSIRのような抗うつ剤に頼るだけでなく、生活習慣を見直すことでより効果的にCBDを使用することが出来そうですね!

 セロトニンを高めるためにはジョギングやウォーキング、ストレッチ、等の簡単な運動、そして日中に太陽からの日光を浴びる事も大切です。食事の際はセロトニンの元になるトリプトファンを多めに摂取できるのが理想的です。トリプトファンはクルミや納豆、バナナ、ヨーグルトなどに多く含まれているようです。また、食事の際によく噛んで、味わって食べる事が脳内のセロトニンを高めるポイントにもなります。

CBDは急速かつ持続的な抑うつ効果を示しうる

目的:動物実験から得たCBDの抑うつ効果とその機序について概説を行う。
内容:
・CBDは様々な生体分子に影響を与えるが主なものは下図のものとなる。

・CBDは内因性カンナビノイドの一種であるアナンダミドの再取り込みを抑制することで血液中のアナンダミドの濃度を高めることでCB1受容体やCB2受容体などに働きかけると考える。

・いくつかの研究で急性投与と持続的投与の両方で抗うつ効果が生じることが示されているが、その機序については以下のものが考えられる。

・CBDの急性投与段階ではCBDによってアナンダミドとセロトニンが一時的に増え、その結果BDNF(脳由来神経栄養因子)が増えることで、海馬の神経新生やシナプスでの代謝が増えることで抗うつ効果を生じると考える。

・CBDの持続的投与段階では、急性投与で引き起こされる機序が続くことで、神経系の構成や神経伝達物質などの産生メカニズムが変化し、安定してアナンダミドやセロトニンの濃度が高まり神経系の炎症症状に由来する抑うつ症状にかかわる脳活動も低下し、神経組織がより保護されるようになり、神経同士の繋がりも増え、神経新生が持続的に行われると考えられている。今後盲検的な臨床研究の実施が望まれる。

 CBDは急性投与も持続的投与の両方での効果が見込まれる事がわかります。もし、当初の病状や悩みが深刻な場合は少量を長く続けるというよりは
最初から効果を感じる濃度迄しっかり上げた後、継続し様子を伺っていく方が効率的
なようにも思えます。メーカーさんや販売店さんの場合、やはり一人ひとりの効果、体感が違うため高濃度をいきなり進める事が中々難しいところがあり徐々に増やすという事が薦められています。

 もちろんセオリーとしてはそうなのですが、当初に低濃度で摂取した後に効果を感じないようであれば、一度高濃度も試してみる事が自分にとっての適正量が見つけやすいこともあると思います。

 何よりCBDも含むカンナビノイドの体感は当初感じにくいことがほとんどです。これは陶酔成分と言われるTHCを多量に含む一般的なマリファナと言われる品種でも同様で初めての人はその感覚や体感が理解できていない為、何も感じない人やわからなくて摂取しすぎてしまい後から効きすぎてしまう人もいらっしゃいます。特にエディブル等で経口摂取した場合に後から強く効果がですぎてしまう事があります。現在、日本で流通している半合成カンナビノイド(THC-PやHHCP、THC-Oなどの陶酔作用のあるもの)なども同様でその摂取量に関しては少量から試す必要があると思います。

 CBDにおいても当初は感じにくいという方が多いですが、THCと違いCBDは摂りすぎても大きな問題や陶酔作用が発生しないという事で同じ大麻成分ですが、その安全性や効果に関しては全く違う成分である事も理解して頂けるといいと思います。

 CBDは健常者の場合、一日の摂取上限が1500mgまでは有用性が比例的に伸びていきその後は有用性が薄れてしまうというデータもあります。通常5%の10mlの製品であれば、500mg含まれていますので3本を一日で使い切っても有用性は上がって行くという事になります。しかし、そのような高濃度を毎日続けられるほどCBDはまだ安くはない物だと思います、、、。

ここ迄、うつ病に関してポジティブな論文を紹介してきました。
しかし、その他に気を付ける事や、危険はないのか?という事が気になり調べてみました。

過剰なCBDは大うつ病患者の免疫系を抑制する

目的:CBDの大うつ病患者の免疫系に対する効果について検証を行う。
方法:
対象:30名の大うつ病患者と対照群として健常成人20名から得られた血液から培養されたアッセイ

素材:濃度の異なる3種のCBD(0.1μg/mL、1μg/mL、10μg/mL)
回数/期間:一回

評価:各種炎症性サイトカインの遺伝子発現量
備考:アッセイに毒素を加えたときの反応を評価した。
※ ヒトへの通常の経口CBD投与では、数100mgの高用量であってもCBD濃度は1μg/mLを上回ることは稀である。

結果:
大うつ病患者は毒素が与えられたときに、有意な炎症サイトカインの増加と代償性免疫システムの増強が示された。
全体として、いずれの濃度においてもCBDは大うつ病患者の炎症反応の抑制に効果が見られなかった。
また高すぎるCBD濃度は大うつ病患者の炎症反応を悪化させうることが示唆された。

考察:大うつ病患者では免疫機能が更新しており、炎症反応が増大しやすいことが考えられた。

 大うつ病と言われるような重病な場合においては、免疫機能が既に乱れている場合にCBDを摂取しても抗炎症効果が得られにくかったり、高濃度のCBDを摂取する事で炎症反応が増大する可能性もあるという事がわかります。

 CBDが非常に万能で基本的に体内の不調や故障個所を通常運転に戻すように体内の免疫や恒常性に働きかけて効果を得るのですが、大うつ病等の重病者の方には逆効果に働く可能性もあるという結果になっています。
 
 前述では高濃度を試してみる事をオススメしましたが、重度の場合は当然
ながら主治医へ相談をしたうえで摂取をすることを強くオススメ致します。

今日はここ迄!! 少しでも参考になった方、続きが気になる方は是非、応援のイイネをお願い致します。



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