GSCA Japan Summit 2022開催!
2022年4月11-12日、GSCA Japan Summit 2022を開催しました。2年ぶりとなった今年のオフライン開催では、全国の加盟自治体をはじめ産官学から多くの方々に参集いただき、スマートシティの実践・実装をめぐるさまざまな領域を議論しました。その一部をご紹介します。
つくば市のスーパーシティ構想
スペシャル対談では、つくば市の五十嵐市長が登壇。「国策によってつくられたつくばの役割は、人類に貢献すること」と述べ、スーパーシティとして多様な領域で先進的な取り組みを実践・実装し、その結果を積極的に他都市や世界へ共有していくことが明言されました。そしてそのアプローチは「小さな成功事例を積み上げ、住民から理解を得る」ことが基本であり、例えば2年後の市議会選挙での実現が期待されているインターネット投票でも、学校の生徒会選挙などのレベルからこれまでにさまざまな現場実証を小さな成功事例として数多く積み重ねてきたことなどが紹介されました。
都市と市民の課題解決に貢献するデータ連携
今年2月に「データ取引所」構想を発表し、新たなユースケースとして世界から注目を集めた札幌市。多くの自治体で、データ連携基盤を構築するも、オープンデータはあるけれど使えるデータは限られているといった状況に対し、発想を転換して有償取引を「データを結びつけていく仕組み」と位置付けています。民間からデータ流通を増やしていくインセンティブや政府のデータ戦略との関係性について議論しました。
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スマートシティ実装におけるビジネスモデルとガバナンス
スマートシティのビジネスモデルをどのように考えるべきかーーグローバルでもスマートシティ実現のビジネスモデルは確立されていません。本セッションでは、海外のスマートシティ事例や、小布施町で地産地消のまちづくりを目指す自然電力の取り組みを例に、市民が街づくりやエネルギーマネジメントについて「俺たち/私たちの電気」と自分ゴト化していくような生活経済圏に基づくコミュニティの再設計こそが肝要ではないかと議論を行いました。また、それを実現していく際の法人や体制、ガバナンスの在り方について議論を行いました。
包括的データ活用による、移動・地域活性化
広島県庄原市において実施された、モビリティデータと消費データを掛け合わせたデータ解析の実証実験についてその報告と議論を行いました。異なる領域のデータを掛け合わせることで「既存データではみえていなかったことが可視化できる」という発見や、そもそも異領域のデータを結びつけることについての意思決定と合意形成を可能にした地域コミュニティの存在などが、地域活性化への取り組みの示唆となっています。
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迅速で透明な公共調達とデジタルマーケットプレイス
調達担当部門のサイロ化、随意契約の公平性と公正性、なかなか多様化できない調達先の選定といった課題に対し、デジタル時代の新しい公共調達の仕組みとして注目を集めるデジタルマーケットプレイス。先進国の取り組みを参照しながら、公共性に基づき、国や自治体でその仕組みや事業者リストを共有化することがもたらすインパクトについて議論を行いました。
自治体のデジタルID最前線
デジタルサービスの接点となる自治体IDと本人認証。これまでの身分証、鍵、ハンコ、対面を用いた公的な本人認証は、どのように進化していくのか。インターネット上で日々使うIDと、自治体IDは同じではダメなのか、何がどう違うのか。ーーマイナンバーカードをトラストアンカーとして活用するIDソリューションの実績を踏まえ、利用対象、安全・安心と説明責任、そして共創領域の可能性などについて議論を行いました。
スマートシティのトラストアンカーとしてのリビングラボ
住民が主体的に参加するまちづくりの手法として注目を集めるリビングラボ。行政が施策を決める前の企画から住民が参加してく共創プロセスや、「やってみたい」と手を挙げたくなるような住民参加など、鎌倉市や柏市での実際の取り組みや国際動向などを参照しながら議論を行いました。
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自治体における持続可能なPHRとデータ活用の設計
健康・医療・介護の領域は、本人を起点とした一貫した情報集約の仕組みが必要とされおり、これは自治体で完結しないーーPHR(パーソナル・ヘルスケア・レコード)とオンライン診断、医療データの情報銀行、国のマイナポータルなど、さまざまな取り組みが出現するなかで、その相互接続性を見据えた取り組みの重要性や、eコンセント、健康無関心層に対するアプローチなどについて議論が行われました。
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PIA(プライバシー影響評価)ワークショップ
PIA(プライバシー影響評価)ポリシーは、スマートシティ5原則のひとつ「Privacy & Transparency(プライバシーと透明性)」を実現するモデルポリシーです。行政プロジェクトの起案段階からプライバシーに対する潜在的な影響を評価する仕組みを、日本の各都市でどのように取り入れられるかについて、世界各国の先進事例を参照にしながらGSCA加盟自治体の参加者とともに議論しました。尚、本ワークショップの具体的な内容については、別途公開する予定です。
GSCA参画自治体による座談会①-瀧本さんに聞く5原則条例化について-
2022年3月に浜松市が発表した全国初となるデジタル活用条例には、スマートシティ5原則が盛り込まれました。倫理的なテクノロジー実装に対する指針として私たちGSCAが提示するスマートシティ5原則は、これまでにも浜松市、加賀市、加古川市、宇部市、東広島市、三田市などの自治体で共通で守るべきルールとして掲げられているほか、内閣府の「スマートシティ・ガイドブック」でも基本コンセプトとして取り入れられています。
「デジタルファースト宣言をした浜松市がどういうまちづくりをしていくのかを示すために、スマートシティ5原則を条例化しました。これはテクノロジー実装に対する市民との共通理解であり、約束なのです」(浜松市の瀧本氏)。デジタル化に対する市民の安心感のために行政が示す姿勢として注目を集めました。
GSCA参画自治体による座談会②-本日の振り返り/自治体職員の共有モデルを検討する-
当日最後のセッションでは、2日間にわたって行われたGSCA Japan Summitの振り返りと、G20 Global Smart Cities Allianceの今後の活動について、参画自治体の皆様の関心についてお伺いしました。本活動も3年目を迎えるにあたり、様々な自治体でスマートシティ事業が構想から実装段階に入ってきたこともあり、ベストプラクティスや様々な知見をface to faceで共有できるコミュニティとしての期待について多くの賛同が集まりました。
さて、最後までお読みいただいた方ありがとうございました。ここまでお読みいただいた方に是非お知らせしたいのは、このG20 Global Smart Cities Allianceの活動は今後も多くの政府・自治体や民間企業、アカデミアの皆様と共創していきたいということです。上記、多くの議論を2日間で行いましたが、多くの方から議論が足りないというお声を頂きました。そこで来月以降、それぞれのテーマをより深堀する"Deep Dive"セッションを個別に行っていこうと思っています。ご関心のある方は是非、お問い合わせください。