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お盆の帰省客激減は、新幹線経営にどのくらい影響したか?

 コロナの感染拡大が続く中、今夏のお盆は帰省を控える流れを受け新幹線の利用客が減少したようです。下の記事に、各社の状況がよくまとめられています。

 新幹線によってばらつきはありますが、前年比で1/4程度という認識でいいかと思います。

 ニュースに映る閑散とした新幹線ホームを見てか「JR潰れてしまう」という声がSNS上でありました。ほんとうにそうでしょうか。この記事では、特にデータがある東海道・山陽新幹線の利用者について、大まかな計算ながら探求したいと思います。

■新幹線利用者の半数以上はビジネス客

 東海道・山陽新幹線を使っている人の割合は、株式会社ジェイアール東海エージェンシーが公表する「東海道・山陽新幹線メディア マーケティングデータ」に記載されています。このデータは毎年更新され、東海道・山陽新幹線における利用者数の割合(2019年)は次の通りです。

新幹線利用目的

 いずれの新幹線も、出張・ビジネスが利用者の半数以上を占め、続いて観光旅行、趣味、帰省という構成となっています。趣味は鉄道マニアとしては多すぎるので、サークル活動など含めた包括的な意味でしょう(笑)。

 余談ですが、東海道新幹線と山陽新幹線を比べると、東海道新幹線はややビジネス寄り、山陽新幹線はやや観光旅行寄りであることが分かります。

■帰省による影響は数%程度

 ここで、お盆の利用者減がどの程度影響しているか考えてみます。

 帰省客自体の割合は、全体の10%にも届いていません。さらに帰省は、お盆だけでなく年末年始やGWにもあります。

 ですので、今夏のお盆の利用者減の影響は、年間の利用者から見ると全体の数%程度だったと考えられます。もちろん、お盆は観光客なども新幹線を利用しますが、ざっくりと見れば、お盆期間の影響は大きくなかったと私は思います。

■観光客・ビジネス客の減にこそ注目!

 それよりも、全体の2割を占める観光客や半数以上を占めるビジネス客が減った場合の影響は甚大です。これらは、お盆に限らず年間を通して利用客が減っています。

 「経済を止めてはならない」という要人の発言や、「Go To Travel」に力を入れている方針は、新幹線の利用者の割合を考えると納得です。

 テレワークが今後拡充する場合、また観光客の戻りが遅れた場合は、新幹線の収益には大きな影響があると思います。

 また、前述のように東海道新幹線はビジネス客、山陽新幹線は観光客の利用が多いです。今後は、それぞれの影響の受け方にも注目です。

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