「実は微妙!?」レッドサラマンダーについて解説
災害時に全国から被災地に駆けつける緊急消防援助隊。
たくさんの消防車が隊列を組んで被災地に急行するシーンは見た事がある方も多いかもしれません。
今回はその隊列の中の特殊車両「レッドサラマンダー」について解説していきます。
レッドサラマンダーって何?
レッドサラマンダーとは岡崎市消防局に配備された大型水陸両用車(無限軌道災害対応車)の事です。
シンガポールのSTキネティクスが製造する軍用全地形対応車「ブロンコATTC」を民間仕様にした「ExtremV」をベースとしています。
これに消防車メーカーのモリタが小改造を施した物が「レッドサラマンダー」です。
雪の上や沼地、水深1.2メートルの場所でも活動でき、60センチメートルの段差や2メートルの溝を乗り越える事もできるなど高い性能を有しています。
では実際活躍を見ていきましょう。
ところで活躍のほどは?
実は(活躍の機会はあるのに)それほど活躍していません。
目立った活躍と言えば令和5年台風第2号の際に立ち往生した車から男性を救出した事でしょう。レッドサラマンダーでしかできなかったかどうかはともかく…
西日本豪雨では活動できず、現地の状況確認、隊員輸送に留まりました。
最近では令和6年能登半島地震でも出動しましたが、すぐ帰還しました。
仕様では雪上でも問題なく走行できるはずなのですが…
導入から11年が経過してもレッドサラマンダーの同型車がどこにも配備されないという事実を見る限り、既にレッドサラマンダーの評価は「追加で配備するような物ではない」となっている可能性もあるのではないかと筆者は考えます。
大阪市消防車の「2台目」とは?
一部メディアなどでレッドサラマンダーは岡崎市と大阪市に合わせて2台が配備されていると言われていますがそれは間違いです。
大阪市にあるのは「レッドサラマンダー」とは別の車両で、愛称は「レッドヒッポ」。
イタリアのARIS社が製造した全地形対応車であるBRT-AATVがベースです。
ちなみに筆者は当初スウェーデンのヘグランド社製Bv.206であると勘違いしておりました。国土交通省や航空自衛隊にも導入されていたし何より似てるじゃん…
レッドサラマンダー追加導入論について
災害があると必ず「戦闘機よりレッドサラマンダーを導入しろ!」などといったレッドサラマンダー追加導入論が出てきます。
ですがそれらはほとんどがとんでもない内容です。
そもそも同じ水陸両用車でも小型水陸両用車は全国的に配備された割に、大型水陸両用車が2台のみという点で察する事ができるはずですが…
それならば津波・大規模風水害対策車(小型水陸両用車など様々な機材を搭載している)や救助用ボートなどの追加配備、全国の消防団に対する救助用資機材等の整備に対する更なる補助などを進めた方が良いです。
他にも重機の大型化や小型車両の更なる配備というのも良いでしょう。
最後に
派手な装備品などは目を惹きますが、「導入しろ」というなら海外での実績、日本に適しているかなどで判断するべきで、ただ目立つ物の名前を連呼するだけではいけません。
あと誰か国土交通省のBv.206の動画を持ってたりしませんか?そして、もしよろしければこちらの記事もご覧ください。