#33 斜めの父親
いらっしゃい。クラブマゼンダへようこそ。
今日も少し私の身の上話をするわね。
私は、父に捨てられた。
私に物心が付く前に父は家を出て行き、気付いた頃には、母は再婚して、義理の父親が居た。
けど、その男は、幼い私や姉、母親にすぐに手を上げる人だった。
だから、私は父親の愛情ってものを知らない。
けど、そうね。もっと過酷な家庭環境で育った人は残念ながら存在するし、私は恵まれていたのかも知れないわ。
ただ、ぽっかりと穴が空いたまま大人になって、今でもふと、父親が居て、普通の環境で育ったらどうなったのだろうと考える日はあるわ。
15歳の時、初めて血の繋がった父親に会った。それは、母がまた離婚をしたから。
きっと、父も遠慮をしていたんだと思うわ。家を出た自分が、私達姉弟に会いに行くべきでは無い。
そう葛藤していたのかも知れない。
それでも私は、義理の父親から虐待を受ける度、誰かに助けて欲しいと強く願っていた。
初めて会った父は、想像とは違っていて、それでも出来る限りの優しさを向けてくれていたと思う。
とは言え、父とはもう何年も会ってない。そして、会ったのは両の手で数えられるぐらい。
今どこに居て、どんな人生を送っているのか、生きているのか、死んでいるのかすら分からない。
私も知ろうとしてないし、お互いに連絡を取っていない。
義理の父親の方は、私が完全にPTSDになって、大人になって離れてからも、何度も悪夢としてフラッシュバックしていた。
そして、ある日、その義理の父親と母の間に生まれた弟が結婚することになって、行きたくない。と散々言ったけど、結局披露宴に出たわ。
そして、その時に、見た当時の義理の父は、私より遥かに小さくて、人間としても、取るに足らない人なんだって再確認できた。
それからと言うもの悪夢は見なくなった。
家族って何かしらね?
血の繋がりが家族なのか、それとも心の繋がりが大切なのか、私にはきっとこの先も分からないと思う。
それこそ自分の家族を持たない限りは。
もう母も高齢になってるし、実の父はもっと高齢なはずで、もう会う機会も無いかも知れない。
そう思うと、自分だけが取り残されたような不安に襲われる。
貴方の家族はどんな人?貴方が困っている時、手を差し伸べてくれる?
それとも逆かしら。
難しいわよね。家族って。特に子どもの立場からしたら勝手に産んでおいてって思う日もあると思う。
だけど、今の私が居るのは,間違いなく、母と、あの父がいたからで、そこにはやっぱり無条件で感謝をするべきなんだと私は考える。
無償の愛を受けられなかったこんな私でも。
最後に、貴方の家庭環境は私には分からない。
だけど、感謝の気持ちを伝えられるうちに伝えてね。
私もそうするわ。
それじゃ、そろそろ閉店にするわね。
大好きよ💖またね。
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