中学校家庭科教師の1年
中学校家庭科の先生として、採用されても初めてですと何をしていいかわからないと思います。そこで、1年間の過ごし方をまとめておきます。高校の先生も生かせる部分があると思いますのでご参考にしていただければと思います。
1年間の見通し
入学式までにゴールデンウイークまでのプリントを作る
ゴールデンウイークまでに夏休みまでのプリントを作る
夏休み中に冬休みまでのプリントを作る
冬休みまでに3月までのプリントを作る
終業式までに来年度の準備を整える
年間計画づくり
家庭科教師として赴任するとよっぽど大きい学校でない限り、一人しかいないので主任になります。そうなると
・年間計画の作成
・評価基準の設定
がすぐにやってきます。教育委員会や保護者が閲覧するものですので適当に作るわけにはいきません。
年間計画は昨年度のものがあれば、それを参考に起こします。なければ、教科書会社の資料やホームページに準備がありますのでそれを使いましょう。指定がなければ来年のことも見据え、手の入れやすい形にするとよいと思います。
設定上1,2年生の時間約35コマ、3年生のコマ17.5コマありますが、実際の授業数は行事が入ることを計算すると30コマと13コマぐらいではないかと思います。
評価基準の設定
評価はどの先生も悩まされるところです。現在、3観点評価ですので、バランスよく評価してあげるのがポイントです。そうすれば、学期途中の評価でもブレが少ないですし、評価材料がないということも少ないと思います。
だいたい、3学期制なら各観点3つずつが良いと思います。
評価方法などは指導書、ワークノートに載っていますし、国立教育政策研究所の提示している評価方法を使うとよいです。むしろ、大枠はそのまま書きます。
また、評価の仕方も前もって授業で伝えましょう。不透明だとトラブルになりますので授業の初回で説明や紙で提示するのもよいと思います。
授業づくり
オリジナリティは必要ありません。東京書籍では見本プリントがあります。
すべてノートでやる方はわかりませんが、すべてプリントで行う場合のやり方です。
大前提の考え方として、何をやらないかを決めます。教科書もわかりやすくするために余剰部分があります。思い切って捨ててしまわないと終わりません。要点をまとめておくだけでも見通しが立ちます。
まず、教科書の目標を見て、それを評価する項目を作ります。
「~がわかった」ならその言葉を使って自分の考えを書かせたり、わかったこと、まとめを書かせれば評価になります。
学習項目は大きく分けて2つの山を作ります。用語などを教える講義、それを使った演習の2本だけが基本形になると思います。自分がだいたい教科書を見ながら20分で終わるものを作ると50分授業になります。
例えば、食分野の栄養素なら5大栄養素を覚えさせ、その栄養素ができることを問題として出します。そうすれば、栄養素とその働きが学べるはずです。
それをもとに導入部を考えます。例えば、ご飯を食べるとどうして元気が出るの?同じ人でも痩せたり太ったりするのはなぜのようなことを書かせたり発表するとよいかと思います。
また、必ずまとめの設定が難しかったなどがあると思いますので、差し替えや改良を積極的にメモなどをしておけば来年以降使いやすくなると思います。
私の考えとしてはストーリー性を持たせることが分かりやすさにつながると思います。
評価方法
プリントを毎回見ることになると思います。ノート提出される方もいますが、私は一切コメントをしません。ハンコをついて返却します。ただ、そのハンコが評価になっています。良い部分に赤線を入れるのもいいと思います。忙しくてもできるような仕組みを作りましょう。
テスト
テストの点数を授業回数で割ります。そうするとだいたいの単元の問題数が算出できると思います。
簡単な問題が20%、標準的な問題が60%、少し難しい問題が20%ぐらいでできるとよいと思います。
平均点は60%に設定します。評価にもつながりますので、低くても高くても大変になるので60%に近づくように頑張りましょう。
授業の流し方
不安になると先生がしゃべるだけの独演会授業になっていきます。なので、できれば授業時間の半分だけしゃべるように心がけます。そのためにプリントに考える問題や用語を書かせるなど作業を入れます。
また、隣同士で交換する、グループで発表する、まとめを考えることも取り入れましょう。
指名も挙手ではなく、列指名を基本とします。そうすることで日ごろから発言しますし、みんな当たることが普通になります。
きっと、やっているときに授業がうまくいかない、と思うことがありますがそれが当たり前だと思います。自分も年間でよい授業だと思うときは2,3回ぐらいです。常に向上心を持つことがよい授業につながると思います。
教材研究の仕方
SNSなど実践を公開している先生もいらっしゃいますが、基本的な考えは次の通りです
・教科書を比べる(東京書籍・開隆堂・教育図書)
・ワーク集などを見る
・小学校、高校の教科書を見る
・他教科の同一分野の教え方を見る
ここら辺を参考に作っています。特に中学教科書は同じところでもやり方が違うことが普通なのでもっていき方の参考になると思います。また、日ごろのニュースや流行っていることも使える分野ですので、ストックしておくと便利です。
実習
調理実習は自分で買いに行くこともできますが、クラス数が多いと大変です。届けてくれる業者がいればそこへお願いしましょう。給食の納品やネットスーパー、個人店など少し値段が張りますがよいものを届けてくれます。 近くに大型スーパーなどがあればそこへ依頼しましょう。大手なら3日前ぐらい普通なら1~2週間前に発注すると間違いないと思います。
被服のキットは出入り業者さんがいます。困った場合は近隣校では何を使ってますか、人気の商品はどれですかと聞いておけばいいです。非常勤だと毎年作るものが変わることも多いです。定番はファイルカバー、ランチョンマット、エプロン、ナップサックあたりですが、小学校で作ったものを確認してからでも遅くありません。予算だけ目途をつけ、返金対応することもできるので目星をつけておきましょう。
ルーティンワークの重要性と作業の標準化
やるべきことがわかっていれば、あとは慣れになります。また、どうしても1日の仕事量が偏り授業しかできない日もあると思います。
そうなると大事なことは1週間あるいは1か月の間、どこに仕事を割り振るかになります。常に同じ作業量であれば、定時退勤も可能になりますし、年休の取得もしやすくなります。
そうなれば、2年目以降の仕事も楽にこなせ、自己研鑽や趣味にも励むことができるでしょう。プライベートが充実すれば心も落ち着きます。
最後に
一人教科、非常勤も多い、頼れる人がいないこともある教科です。そのため、辞めていく先生、忙しくて採用試験どころではない先生もいらっしゃいます。少しでも多くの先生のお力になれば幸いです。