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薬じゃない

私の名前は星羅(せいら)。昔居た人格の名前をもらったの。そう、私は、のーとを書いているあの子の交代人格のひとり。そうね。私は基本人格と呼ばれていたり、主人格と呼ばれている子のことを、「あの子」と呼んでいるわ。理由なんてない。あの子はあの子よ。

びっくりしたより、ほっとしたが勝ったわ。このノートの数々を読んで、あの子が書くことを辞めていなくて嬉しかった。気持ちを伝えてくれて嬉しかったわ。すごく、すごく嬉しかった。
私にとってのあの子は、おてんばな女の子。どこまでいっても、小さい子供のイメージのまま。でも、大人になったのね。子供がほしいなんて、育てたいなんて言う子供じゃなかった。したいことを言ってくれる子供じゃなかった。
だからこそ、嬉しかったわ。
生きてるのね。生きるのね。

私は、薬にはなれない。ほかの人格のように、あの子のためを想って動いたとしても私には私の考えがあって、嫌いなものを曲げるなんて絶対に嫌だと思ってしまう。あの子を守りたいのに傷つけてしまう。薬にはなれないの。

でもね、こうやってお話しようって声をかけてくれるのはとても嬉しいわ。ありがとう。
いつの日か、私が居なくなったとしても、あなたのそばに、私がいたこと、私たちがいたこと、それは消えない。覚えてなくてもいい。忘れてもいいわ。だって、消えないもの。
あなたと一緒に生きていくから。きっと、周囲が覚えていてくれる。だからね、安心して前を見なさい。進みなさい。

後ろを向いた時、下を向いた時、どんな時でもそばに居る。居なくなっても、ここにいる。
だから、安心しなさい。

ほら、今日も生きるんでしょう?
さ、歩いて。あなたの今日を生きて。

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