世界へ子を送り出した父の話し。
世界で活躍する子を育てるって、キチガイじみたことなんです。時にはモンペ(モンスターペアレント)と言われることもあったと思う。
「普通」なら、普通に育つ。
別に普通が悪いというわけではない。普通は至って普通で、良いこと。
だが、普通以上の努力をしないと普通は越えられず、さらに上を目指すなら、それ以上の努力が必要であり、幼少期から活動をするとなると、絶対的に両親の意思が存在する。
私が子供の保育園で知り合い、親友となった彼女の夫が元オートバイレーサーで、長女が4歳になった頃だったか、自転車に乗る前に、ポケバイに補助輪を付けて練習を始めさせた。
当時の私もまぁまぁアタオカ(頭おかしい)だったので、へーすごいね!という軽い感じで練習を見に行ってワイワイしていたが、今考えてみたらかなり普通では無い。
まさじ(父)の長女がレースデビューを果たしたのは年中さんの時。まだ小学校に上がる前の暑い夏の日。私も応援に駆けつけた。
レースエントリーした子の中で最年少の長女。デビュー戦は辛くも転倒してしまった。5歳にして、悔しくて号泣するかれん。
面白そうだなーっと楽しい気持ちでサーキットへ着いて行ったが、もっともっと深いものだった。胸がギューッと締め付けられた。
当時書いたブログはサービスが終了してしまって記事が消えてしまったが、タイトルを
「親の夢 子供の夢」
という感じで、この日の感想を書いた。2004年8月の話し。
この日は、当時現役レーサーで、現チームアジア監督の青山博一氏がサーキットにいらしていて、サイン会を開催されていた。黒いキャップが3歳の小椋藍。まさかこの時は、将来師弟関係になるなんて、誰も想像すらしなかった。
今思えば、この日は何かが始まった日だったのかもしれない。
私はバイクのことは全く詳しくないが、サーキットが好きだったので、よく子供たちを連れて小椋家について行った。
過去の写真フォルダを見ると「まさじ」はいつもオートバイをいじっていた。
その時その時のベストパフォーマンスだけを常に考えていた。勝たせてあげたい。早く走らせてあげたい。少しでも、少しでも。
と、まさじが言っていた訳ではなく、私のキャプションだ。
本当は、9月23日から25日に開催されたMoToGP日本GPのmoto2クラスで、私の親友の息子小椋藍が、ホームレースで青山博一監督以来、16年ぶりの日本人優勝という快挙を遂げた話を書こうと思っていたのに、過去の写真を見ていて気がついたら私の中で「まさじ」にスポットが当たっていた。普段は「まさちゃん」と呼んでいるし、あとで怒られたら消すかもしれない笑
自分の話しになるが、自分の憧れだったピアノ、もし私に子供が産まれたら、絶対にピアノを習わせてショパンの子犬のワルツを弾いてもらう、という夢があった。長女が3歳になった時に、待ってました!という感じでピアノを習わせたが、本人がダンスをやりたいと言い出し、本人の意思を尊重して小学校1年生からダンスを習わせた。私の意志に反して長女はダンスで活躍して行った。
うちの長男は長女がダンスを始めたついでに、一緒にダンスを習わせたら思いの外上手くてセンスがあったので続けさせたかったが、サッカーをやりたいと言ってダンスを辞めた(サッカーは小学生いっぱいで辞めた)
リベンジで末っ子も3歳でダンスを始めさせ、この歳からダンスをやっていたら世界で活躍するのでは?と思ったが、サッカーをやりたいと言って辞めた(サッカーは5年生で辞めた)
どんな競技や学問でも言えるが、いくら親がやらせたくても、本人がハマらなければ、レールに乗れない。逆に、本人がいくら好きでも、持っているもの(才能?)が無ければ、どれだけ努力しても天井にぶつかってしまう。親も子も一生懸命やったとしても、やり方が間違えていればソコソコで終わってしまう。
つまり、親の夢、子供の夢、子供の才能、マネジメント力、全てが合致したとき、最高のパフォーマンスを発揮する。それを目の当たりにしたのが日本グランプリだった。
オートバイのことだけをやっている訳ではなく、家族を養い、さらに活動する資金も必要。ダンスやサッカーなどとは桁が違う活動資金が必要なモータースポーツ。はっきり言って庶民だった小椋家。お父さんお母さん、どんなに大変だったろう。
海外でのレースでは優勝や表彰台を経験していたが、ずっとテレビ越しでの観戦だった。
日本GP、目の前で我が子の活躍を見ることができ、そしてさらに優勝!その優勝も、16年ぶりの快挙!おめでとう、すごいね、やったね、感動だよ、報われたね、良かったね、こんな語彙力ない言葉しか出てこないが、小椋家の皆さん、最高だね!本当に本当におめでとう。
藍の今の目標は、年間チャンピオンを取ること。今年はそれに手が届きそうな位置にいる。藍の夢、小椋家の夢、応援するよ!
小椋藍伝説は始まったばかりだ。
これからまだまだ目が離せない。
こんなカッコイイ息子を産んで、育ててくれたお父さんお母さん、ありがとう。
生活の全てを子供達のレースに捧げてきた、父母のゴールもまだここではないが、ゴールなんて無いと思う。
小椋藍が勝つということは、戦略的にマネジメントしてきた父の勝ちだ。闇雲に走らせてきた訳ではない。誰でも真似できることではない。まさじカッコいいぜ。