朗読トレーニング・講座メモ・2022年4月19日
さてさて、今期二回目となる「西村俊彦の朗読トレーニング」
前回に引き続きテキストは夏目漱石の『夢十夜』より第一夜。
前回の復習として、物語をどう届けるかのジャンル決め(映画が分かりやすいのですが、アクションなのかヒューマンなのかホラーなのか、みたいな)をすると語り方を絞りやすいよ、という話。
いざ読むとなると何の雰囲気もない読み方になってしまうことがあるので要注意。
そして今回のテーマとしては、
「誰が届けるのか」
に触れました。物語により、「私」主体だったり、神様なのか作者なのか第三者の視点で書かれていたりなのですが、この
「朗読する私は何者か」
という事がとても重要になってきます。
例えば
「Aの新事業は見事に成功した」
という文章があるとして、
語り手が
・Aを応援している
・Aを憎んでいる
のどちらかだけでも大分読み方が変わってくるはずです。よくやった、がんばれ!なのか、おのれAめ!
なのか。
この、物語の中の出来事への、語り手の距離感や感想が、朗読する上で私は大切だなと思っていまして、
そこを適格に表現するには語り手の「私」が何者であるかということがとても重要になってきます。
夢十夜の第一夜にしても
「もう死にます」
という女に対して私が、どう思っているのか、二人の心の距離感はどのくらいか、という事が、語り手によって無数に存在してきます。
物語の中に「私」がどう参加するか。
その場の匂いや温度、空気感や漂う感情などを言葉に、音に乗せていくと…物語はたちまち、あなただけの大切なお話となっていく…はずです。
西村俊彦の朗読トレーニングは
池袋コミュニティ・カレッジにて。