【将棋】級位帯の戦い方
先日将棋ウォーズで初段になりました。級位者の特に1~3級は、将棋の定跡とは別の独特の考え方が必要になると思います。いい区切りなのでそのことについて少し書いてみたいと思います。
奇襲戦法・力戦形が多い
級位者の方と指すと感じるのは、奇襲戦法や力戦形が多いということです。級・段が上がるにつれ減っていくのですが、特に早指しで受けが難しいので戦法として成立しているのだと思います。
そのため級位帯で勝率を上げるにはこの奇襲戦法対策ができるかというのが非常に重要になってきます。
奇襲戦法対策はそれなりに定跡がまとめられますが、純粋な力戦形での勝負は難しいです。
相手に形を強制できるというメリットがある
奇襲戦法や力戦形は正しく受けられると不利になる場合がほとんどですが、正しく受けるのは難しく、また正しく受けても相手に形を強制できるというメリットがあります。
たとえば後述するアヒル囲いには向かい飛車が有効なのですが、向かい飛車を指したくなくても向かい飛車にせざるを得ないことが多いです。
アヒル囲い対策
浮き浮き飛車
アヒル囲いはたいてい浮き浮き飛車と呼ばれる形から始まります。なお後手番ですが便宜上先手番目線で解説します。
これはハメ手で普通に指してしまうと角頭の歩を取られてしまいます。
この場合☗2六歩に代えて☗8八飛と向かい飛車にするのが有効です。相手が☖7四飛と角頭の歩を狙ってくれば、すかさず☗8六歩と反撃し飛車先を逆襲できます。
これは私が2級→1級の時に向かい飛車を採用した大きな理由です。
当時は一直線で向かい飛車にしていたので自然に対策できていたのですが、いざ実戦で浮き浮き飛車に遭遇すると、思わず☗5六歩とゴキゲン中飛車を目指して今でもハメられてしまい、難しいですね……。
鬼殺し対策
鬼殺しは振り飛車にすればたいていは対策できます。なぜかというと戦法の根底に2八の地点(飛車の初期位置)を攻めるというものがあるからです。
特にゴキゲン中飛車にすれば、☖5七桂不成や☖5五角打も自然に受けられるので有効だと思います。
早石田対策
早石田ですが明確な対策はないようにも思います。ただ基本思想は鬼殺しと同じで、飛車の初期位置を攻めるというものです。ですので振り飛車にするのが有効です。
左玉という、振り飛車でありながら玉を左に囲う戦法も有効だと思います。
馬をつくる変化もあるのですが、乱戦は早石田の望む所といった感じで相手の土俵に上がっている感じがあり、あまり好きではありません。
序盤さえ受けきってしまえば、後は普通の石田流との戦いになることが多く一局になります。
ゴキゲン中飛車は横歩を取る変化も消していて有効だと思います。
横歩を取る変化① 角道を閉じた場合
早石田では序盤から飛車角交換を挑んでくる方もいます。飛車と角歩の交換なので駒の損得も同じくらい、かつ序盤は飛車より角という格言の通り、理に適った変化です。この変化になると苦しいです。
横歩を取る変化② 角道を閉じない場合
角道を閉じなくても1歩得を狙ってくることもあります。序盤の1歩は大きいですので、この変化を消すよう指すのが理想です。
番外編:一直線右四間飛車対策
右四間飛車は奇襲戦法ではないですが、時々居飛車党にも関わらず一直線に右四間飛車を狙ってくる方もいます。
こういう変化を一直線右四間飛車と勝手に呼んでいます。一直線右四間飛車は相手が角道を閉じてきた場合に限りますが割と一方的に勝てる戦法です。
明確な対策は存在しないと思うのです。初段になった時の記事に書いた通り私はゴキゲン中飛車を採用し、腰掛け銀や6五歩からの仕掛けを消すことで対策しました。ただこれは対策というよりも、右四間飛車との真っ向勝負を避けているだけですね。。
この形になれば振り飛車は☗4五銀や☗5四歩からの仕掛けが見えているのに対し居飛車は仕掛けがないので振り飛車の作戦勝ちと思います。
その他基本的なこと
戦法以外の部分では飛車や角の利きを忘れてただで取られたり、逆にただで取り忘れたりするというような「うっかり」をなくすことや、特に序盤は駒の損得を軽視しない(1歩の差も大差です!)、よくある攻め筋を覚える、頻出する詰みを見逃さないなどが重要だと思います。
たとえば最近2級の方と指す機会があったのですが以下の詰みを見逃されて勝ってしまいました。これを0.2秒で解けるようになるのが理想です。解けるというか、こういった「詰みパターン」は頭に入れて読まずとも「詰み」を判断できたほうがよいでしょう。ちなみに5手詰です。
1級の方と指した時は、少し難しいですが以下の詰みを見逃され、逆転勝ちしてしまいました。私は「あ、詰みだな」と思っていたのですがお相手の方はわからなかったようで、粘るの大事だなと思った次第です。7手詰です。
感想:初段になって変わったこと
ここからは感想になってしまうのですが……。
初段になって変わったことに、特に級位者の方との対局で「逆転勝ち」する機会が多くなったな、ということです。つまり相手が詰みを見逃してくれたお陰で勝ってしまうということです。
言い換えれば、自玉の詰み筋を自分は見えているけど相手は見えていない、ということです。相手よりも先に自分の詰みを見つけてしまうのは、棋力が上がった証拠なのかもしれませんね。
終盤力の差、といえばそれまでかもしれませんが……。
以前は逆に、解析すると勝勢だったのに逆転負けすることが多かったです。自分の棋力・終盤力の向上に嬉しいな! となっている今日この頃でした!