第四話 朔風花払 ―きたかぜはながはらう― (七)
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<七>
咲保は、わっ、と泣き伏したくなった。だが、できなかった。気を緩めれば、二度と立ち上がれなくなる。彼女が取り乱せば、弟や妹も混乱させる。だが、この嵐の中にいるような、荒れ狂う気持ちをどうすればいいのかもわからない。
(足が冷たい……寒い。ああ、竈に火を入れなきゃ。お部屋にも炭