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デジタルメディアの考古学2・サイバーカルチャー・ショーケース (2010年『アイデア』344号)

90年代初頭の日本で何が望まれていたのかがまず重要だ。時代のキーワードは「サイバー」「マルチメディア」「デジタル」である。海外では80年代からハッカー+カルチャー誌である『High Frontiers』(のち『Mondo 2000』)や、デジタル+ヒッピーこと「ジッピー(Zippie)」を打ち出していた『Encyclopaedia Psychedelica』などがあったものの、日本では未だ「Macを介した新しい文化と表現」という需要に応えるメディアがなかった。80年代のコンピュータ雑誌の傾向は、ゲームやパソコン通信などのホビー派と、CADやワープロなどのビジネス派の二つに大別できるが、大雑把に言ってそれらは子供とオタクとサラリーマン向けであり、総じて買物用カタログ誌だった。だが必要とされていたのは、コンピュータの存在が音楽・映画・ファッション・デザインなどカルチャー全般をどう変えて、これから何が起きるのか?に焦点を合わせる、若者に向けた新しい情報ソースなのだ。

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2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。あとnoteの有料記事はここに登録すれば単体で買わなくても全部読めます(※登録月以降のことです!登録前のは読めない)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』も全部ある。

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追…

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