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インターネットのムード/モード史(2012年『メディア芸術アーカイブス』)

かつてのインターネット史はホビーとビジネス、個人と企業、アングラと一般、といった区別があり、それらを分けて記述した方が理解しやすい状況がありましたが、昨今はどちらともいえない流行現象が多数見られるようになりました。
それまでの二分法が通じなくなってきたのは「Web 2.0」という言葉が登場した時期と重なっています。2005年9月末にティム・オライリーが発表した解説文「What is Web 2.0」で広く知られるようになったこのタームが生まれた背景には、2000年代前半に散見されるようになったウェブの新しい動向がありました。ティムは、それまでの固定された一方通行メディアとしてのウェブを「Web 1.0」として対比し、流動的で誰もが発信可能な情報のあり方、それを実現するためのプラットフォームとしてのウェブを「Web 2.0」と位置付けました。言い換えれば、従来からあるメディア──新聞、ラジオ、書籍、テレビなど──のオンライン・バージョンと考えられていたウェブが、代替ではない電子ネットワークならではの特性を活用しはじめたのです。

○「Web 1.0」のモード

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5,334字
2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。あとnoteの有料記事はここに登録すれば単体で買わなくても全部読めます(※登録月以降のことです!登録前のは読めない)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』も全部ある。

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追…

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