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立体音響と日本

先月、Cornelius『Fantasma』の発売から25年経ったことに想いを馳せ、少し感慨深く、振り返り気分だった時に、1曲目「Mic Check」に使われた立体音響マイク、通称「藤原マイク」を作った藤原和通さんが2020年に亡くなっていたのを知った。

何年か前に検索した時は藤原さんの個人サイトがあって、そこで作品の解説や販売などをしていた記憶があり、そのサイトがどこにも見当たらなかったのでおかしいなと思っていたのだ。作品集『藤原和通 I - 1970-1974 [音響標定]』(おふね舎、2021-04-05)が検索に引っかかり、その紹介文で〈美術家・藤原和通(1944-2020)〉と書かれていて、2020年で区切られているのでおかしいなと思い、色々探しているうちに、2020年に亡くなったこと、追悼展があったこと、それで過去の仕事を辿る追悼作品集が出たこと、がわかった。

2年間もそれを知らなかったのがショックで、作品集を取り寄せて読んでみた。もともとサウンド・アーティストで、アーティスト活動の一環としてマイクを作ったのは知っていたが、それ以上は調べたことがなく、知らなかった一面が覗けて興味深い。音のアーティストとして武満徹と対談してたり小杉武久と関わったり、かなり本格的な活動に思えた。

作品集自体は1970年のデビューから「音響標定」という渋谷で1974年に行われたイベントまでの活動に焦点を絞ったもので、マイクの話は最後の年譜に名前が出てくる程度。続刊の予定はあるようで、そちらに期待したい。その年譜では1997年の箇所に〈時期不詳、フジワラ・サウンド・システムを使って、コーネリアスのアルバム『FANTAZUMA』に参加〉とある。ZUMA。

今回するのは藤原さんの話ではなくて、そのマイク、の立体音響というものについて追加で調べているうちにわかってきたことの共有です。藤原さん以外にも当時色々あったんだなということで。

立体音響とは

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2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。あとnoteの有料記事はここに登録すれば単体で買わなくても全部読めます(※登録月以降のことです!登録前のは読めない)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』も全部ある。

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