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John CageとAKB48の共通点(2011年未発表)

これは新しくデジタルコンテンツの販売サイトを作るので、何か文章とデジタルコンテンツを一緒に提出してください、という依頼で、何にしようかなと思ってフォントを作った時のものです。結局世に出ませんでしたな~。

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フォントに興味を持ったのはいつだったか覚えてないけれど、自分で買うほど興味が沸いたのは、キノコのイラストで有名なJohn Cageのアルバム(CRAMPSレーベルのnova musichaシリーズ1番)を見てからだったと思う。レーベル・オーナーのGianni Sassiがアート・ディレクションを務めた、モノクロームの整然としたジャケット・デザイン。もうとにかくかっこいい! 真似してみたくてしょうがなくて、とりあえず何のフォントを使えばいいのか調べることにした。

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でもアーティスト名「JOHN CAGE」の書体の調査が最初から難関だった。書体見本帳を一つずつ調べるだけで結構手間だったし、ついにたどり着いた「Avant Garde Gothic」!……を見つけたはいいけども、なんか微妙に形が違う。「CAGE」に使われてる、独特の形の「A」がなかった。

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今でこそ、この書体はHerb Lubalinというアメリカの伝説的なデザイナーが『Avant Garde』という雑誌のために作ったもので、Avant Garde Gothicには「Alternate」という合字や別の字形をまとめたスタイルがあり、そっちにあの「A」が入ってることが判るけども、その頃は見本帳に載ってないものはその時点で打つ手なし。「Alternate」がウェブのフォント販売サイトで購入できることを知ったのは、2005年頃にどこかのQ&Aサイトを見てからだったはず。最近ではAKB48が少し加工してこの書体を自分たちのロゴに使っていることで、もう少し身近な存在なのかもしれない。

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そういう訳で自分にとっては最初の頃に調べた思い出深い書体でもあり、自分で欧文フォントを作るなら、まずはAvant Garde Gothicを真似たものを作りたいと思うのがもう自然な流れなのである。ということで作ってみたのが「Nau Gothic」。頭の中にある想像上のAvant Garde Gothicをイメージしたのであって、本物をトレースしたわけではないことを先に断っておきたい(実際、どちらかというとFuturaに近いかも)。

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特徴は線の端を丸く処理してあること、小文字の代わりに変な形の文字が入ってること。あまりデザインに凝らないでも、文字を打っただけでなんとなくオシャレな雰囲気が出るのが理想なのだけども、それはなかなか難しい。まあちょっと気の利いたフォントにはなったかなというところ。

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2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。あとnoteの有料記事はここに登録すれば単体で買わなくても全部読めます(※登録月以降のことです!登録前のは読めない)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』も全部ある。

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追…

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