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発達グレーゾーン中学生のテスト奮闘記①

中学生の息子の中間テストが終わった日は
夫の会社の給料日だったので、
駅前の銀行で生活費をおろした。


そのままいくつか買い物をし、
家に帰ろうと思ったけど、
どうしても少しだけお茶をしたくなり、
駅ビルの中のカフェに入った。


外に面した窓側の席を取り
注文した飲み物を前に
「あーーーーー疲れたーーーー」と声が出た。


そのまましばらく、ただひたすら、ぼーーーーっとした。


がんばった。
本当によく、がんばった。
家族全員。。。


我が家の中2男子、
勉強が大嫌いで、
塾には絶対に行かないと言い続け、
1学期はほぼほぼ
なんの勉強もせずにテストを受けた。


当然、
「本当にこういう点数取る人っているんだねー」
と思うような数字が並んだ。


それでも宿題や提出物はちゃんと出していたせいか
1学期の通知表は、こちらの想像よりは悪くなかった。


へーあの点数でも、3がついたりするんだねー
・・・みたいな。


思えば小学生の時から
彼の勉強に付き合うのは
ものすごい根気と忍耐を要とする
親にとっても修行のような時間ではあった。


彼には発達障害がある。


小学校5年生までは支援級にいて、
その後、普通級に転籍して今に至る。


転籍に至るまでの経緯にも
たくさんの紆余曲折はあったのだけど
それはまた別のお話。

機会があればまた書くかもしれない。

彼は支援級だとまぁまぁ退屈で、
普通級だと常に背伸びが必要な
丁度グレーゾーンの子なのだ。


だけど
これまでの勉強の大変さの原因はそこではなく、
結局彼の意欲のなさ、
取り組む気のなさ、
もっと言えば
勉強に対する拒否抵抗感の問題だったのだ。


・・・ということが今回、よくわかった。


テスト2週間前。
彼が突然、「勉強をしたい」と言い出した。
英語の点数を伸ばしたい、と。


英語!?


よりによって英語!!


主要教科の中で、彼は特に英語がダメだった。


彼の障害特性として、
ワーキングメモリーの少なさがあり
暗記はとにかく苦手なのだ。


どのように苦手かというと
部活の試合を見に行った時に
一人だけボーっと立っていたりする。


先輩がその都度、今はこっちに立て。
今度はこっちと指示を出す。


しまいに先輩もイライラし始めているのが
遠くから見ていてもわかる。


わたしは思う。


あー・・・ルールを忘れちゃったんだなー。。。


もう1年近くやっている部活で
まさかルールを忘れているだなんて、
誰も思わない。


だからものすごいダメなやつに見える。
やる気のない、覇気もない。
そんな子に見える。


帰ってきた息子に、
「ルールがわからなくなっちゃったの?」
と聞いたらコクリと頷く。


じゃあ、ルールをノートに書いてあげる。
と、小さなメモ帳に
彼が忘れてしまうというルールの部分を
わかりやすく絵も入れながら書く。


毎回、部活の練習の前とか試合の前に、
このノートに目を通してから始めてみな?


次の部活の後、「どうだった?」と聞いた。


「大丈夫だった!ノートがあれば大丈夫だった!」


そういう調子だ。


普通のことが、普通にできないわけではない。


だけどそれを可能にするために
普通より踏み込んだサポートを
必要とすることが少なくない。


物事を覚えにくく、忘れ易い。


それでも勉強は
中学1年までは
本人が自発的に取り組む気持ちがなくとも
なんとか慰め、励まし、叱咤もし、
取り組むことを促し続けた。


だけど中1の途中から
軽いいじめのようなものに遭い


学校で辛い思いをしているのなら
家で負荷はかけられないと
勉強を「させる」のはスパッとやめた。


あの時期は今まで以上に、
家の中は彼の
安全地帯である必要があった。


学校は本当によく対応してくれた。


いじめの訴えに即座に対応し
直ちに相手の子の家に家庭訪問もし
わたしたちとも何度も話し合いを重ねてくれた。


クラス替えの際には
本人と相性の悪い子を全員違うクラスにし
本人と仲良くなれそうな子を
出来るだけ同じクラスにしてくれた。


たった3クラスしかない学校で、
そこまで徹底した調整をするのは
こちらが思うより大変だったはずだ。


1年生の3学期は、ほとんど学校に行っていない。


このままもう学校に来ないかもしれない子のために
1%でも来られる可能性のある環境を作り出し
提供してくれたのだ。


それを思うと、
今でもうっすら涙ぐめるくらい
本当に学校には感謝している。


そのおかげで2年生からは徐々に友達も増え
今では普通に学校に行くようになっていた。


その矢先の発言だった。


「勉強をしたい。今度のテストで全教科、1点でも多く取りたい。一番は英語。」


テストまで2週間。


せめて夏休み中に言ってくれよーーーと
心の叫びを飲み込みながら
わたしはテスト範囲とその内容の確認をした。


英語か。。。


暗記が苦手なあの子にとって
単語の読み方、意味、スペル、文法に熟語。


覚えなきゃいけないことが多すぎる。


まだ数学だったら苦手とはいえ
連立方程式の計算くらいはできるのだ。


点数的には英語より、
他の教科を伸ばす方が簡単そうだ。


そのことを一応、本人に伝えた。


「点数」を伸ばしたいのであれば
英語より、他の教科に時間を使った方が
それは叶いそうだけど、どうする?


なにせ2週間しかないのだから。


「ううん。英語。英語を特に伸ばしたい。」



・・・了解。



やるか。


2週間で、どこまで出来るかわからないけど。


そもそも物を覚えるのに、
普通の子の5倍の時間はかかるのだ。


そういうわけで、僕らの2週間戦争は始まった。
(僕らの7日間戦争ってあったよね?関係なさすぎだけど^^)


<長くなりましたので、続きます。>


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