橋本遊郭を見学してきた②「美香茶楼」(旧:第二友栄楼)
前回の京都府八幡市の橋本遊郭見学、「旅館 橋本の香」(旧:三枡楼)編はこちらを。
つづいては、現在は中国茶カフェとして営業中の「美香茶楼」(旧:第二友栄楼)の見学へとやってまいりました。
「美香茶楼」(旧:第二友栄楼)
玄関のドア、表からだとそんなにわからんかったが、色ガラスがとても可愛い。
玄関ホール
入り口入って右側は、遊女が並んで客に選んでもらう陰見世という場所だとか。当時にはまだパネマジという概念は無い。
目立つ日の丸国旗に違和感を覚え聞いてみると、戦地に赴く前にこちらにきて遊んでいく兵隊さんを見送るためのものだったとのこと。
こちらは先ほどの「橋本の香(旧:三枡楼)」に比べ、庶民的な遊郭だったそうで、大阪から大勢の若者が来てたようです。
では入り口から右側にある階段をあがっていきま〜す。
2階
階段は踊り場で二手に分かれ、表通り側と奥の部屋に分かれます。表通り側を使えるのは売れっ子のみだとか。いつの時代も人気メンと不人気メンは差をつけられるものなのですね…。
産児調整 疾病豫防 十銭白銅ヲ入レ 下ノボタンヲ押テ下サイ
と書いてあるようです。昭和初期に使われていたもののようですが、客側が必要ならば自分で買って用意するものだったってこと?
女性の体を守るというより客である男性側の病気予防のためという側面を改めて感じさせられて、なかなかしんどくなってしまう部分はあります。
一番人気の遊女が使うという表通り側にあるこのお部屋は現在、カフェ用の部屋として使用してます。和風の部屋をエジプト風に施し、不思議な異国情緒溢れる空間となってます。
このエジプト風のインテリアに合わせた、最近の海外の照明なのかなと思ったら日本の大正時代のものなんですって。このデザインセンスよ。
つづいて二手に分かれる階段の左側の方へ。廊下の先が少し曲がっていて奥行きを感じさせます。
階段あがってすぐ手前のお部屋もカフェ使用のお部屋で中華風インテリアでまとめられてます。
そのお隣のお部屋やその奥のお部屋は、カフェ用にまだ準備中とのこと。
もともと建物に残っていた家具や建具を直して使用したり、他所で残っていた同時代の物を集めたりして、少しずつ整えていってるそうです。
奥の部屋には、まだまだ様々な古いものが積まれてました。
この洗面所のタイルづかいがキュートすぎる!!!
廊下の奥にも階段があり、行きと帰りで客が鉢合わないようになってます。一番奥には、川側に面したお部屋がありました。
一階
階段を降りて一階へと。
上の画像は、日の丸のあった入り口を裏から見た部分ですね。
またもとの玄関ホールに戻り見学は一通り終わり。こちらを見学している最中に、もう一人見学者が訪れたので後半は一緒に説明を聞いてました。
1000円でこちらの建物の修繕の記録をまとめた冊子が売っていたので購入しました。まだまだ改修途中、微力ながら少しでも協力できれば…。
見学料は、「旅館 橋本の香」(旧:三枡楼)も「美香茶楼」(旧:第二友栄楼)もそれぞれ500円です。
もちろん見学だけではなく宿泊や漢方エステ、カフェとして使用してこちらの歴史ある建築物を堪能するのも良いでしょう。
橋本の街並み
見学した2軒があるメインストリートには、多津美旅館という今も営業されているお宿もあります。こちらも遊郭時代の名残であるステンドグラスやタイルの内装が今も残ってるそうです。
街はとても静かで、空き地になっている場所も目立ち、人で溢れかえり大いに賑わっていたという往時の姿をなかなか想像できない。現在は夜になったらとても寂しい通りになりそうだけど、全盛期、建物内の光がステンドグラス越し漏れてくる表通りの様子はどんなに煌びやかだったのだろう。
今回、次の予定(伏見のライブハウスでアイドルのライブを見る)があったのであまり散策ができなかったけど他にも面影を残す建物はまだ点在しているようです。とはいえ、現在は個人の住宅として使われていたりするので、あまりジロジロ眺め回したり写真に納めたりするのはいかがなものかというのはあります。
しかし、他の元妓楼らしき建物を見るにつけ、今回見学した二軒は大変な労力でなるべく本来の姿に戻すべく修繕されたことだと感じます。
遊郭という歴史から、消してしまいたい、風化させたいと思う住民の気持ちもあるのでしょうが、このような素晴らしい建物を見てしまうと、頼むから保存しておくれという気持ちになります。身勝手な観光客で申し訳ない…。
こちらを訪れる際は、その成り立ちにも思いを馳せつつ残された建物を大切に扱いながらマナー良く見学したいものです。