浮世絵は広告ビジネスの原点
5月の終わりから毎週火曜日の夜が、金曜日の夜みたいに待ち遠しい。それは、和樂さんのスナックが開催されるから。
ネットフリックスやアマプラ、TVerなどの登場で、もはや「何曜日の何時からはこれがある!!」というコンテンツとタイミングのマリアージュでワクワクすることは、現代では"ほぼ"なくなったと言ってもいい。時々、金曜ロードショーで「天空の城 ラピュタ」が上映されるとき、日本中が一体となって画面の前に座っている感じはあるけれど。マスでそういう時間の共有が起きるのは、もっぱら正月や大晦日、選挙速報や災害時など、季節やイベントなどの「体験」が中心になってきている。歴史を遡れば、もともと「体験」で共有していた時間を、テレビの登場で「コンテンツ」が奪っていった、というのが正しいのだと思うのだけれども、さらに時代が進んで、「コンテンツ」へのアクセスが、消費者の自由に委ねられるようになった今、より戻しがきている。
で、和樂さんのスナック。
zoomで20:00-21:00(と言いつつ、だいたい22:00)まで、毎週火曜の夜に開催されている。初回は参加し損ねてしまったのだが、この1ヶ月ちょっとの間、前期は浮世絵について、後期は工芸についての話が繰り広げられている。
和樂編集長のセバスチャン高木さんが、和樂noteに書かれた記事を画面共有しながら(これ↓)、編集部の鳩さんと絶妙なトークを繰り広げる。セバスチャン高木さんが、時に酩酊しながら、時にお酒自粛モードで、編集者の視点で語る浮世絵の話は、それはそれは控え目に言って面白さの極みであった。
自分と浮世絵の接点と言えば、数年前に文化村で国貞・国芳展をしていた時と、永青文庫で春画展をやっていた時に触れたことがある程度。その展覧会に行った当時、「へえ、浮世絵って版画だったんだ〜」と驚いたはずなのだが、すっかりその知識はどこかへ抜け落ちてしまっていて、このスナックで同じところで驚き感心することから始まった。
私は、広告の仕事で生計を立てているので、特に蔦屋重三郎と遊里の関係、浮世絵がビジネスとして江戸の世で展開されていた下りは非常に興味深かった。
蔦屋重三郎(略してツタジュウと呼ばれていた...キムタク的な略され方に親近感)の登場時に一瞬語られた平賀源内は、土用丑の日を作った広告の祖とも言われているので知っていたが、セバスチャン高木 編集長の話を聞けば聞くほど、平賀源内よりもツタジュウがやっていたことの方が、広告の芯に近しいなあと思った。
遊里のいわゆるガイドブックである吉原細見や、(そのレイアウトは、コミケや文フリの出展ブース地図を彷彿とさせる感じで、イラストなども書いてある)、洒落本、黄表紙、狂歌など、江戸の文化を形作っていった読み物そのものが、広告の役割も果たしていたのだと解釈できて、広告にとって潮目である今の瞬間に、このスナックに出会えたことを感慨深く思ったりも。
前回から始まった「工芸」の話は、知識がなさすぎてちょっと難しいのだけれども、今夜もこの後「工芸」の後編スナックが。チキンラーメンを食べる縄文土器が気になる私だが、「ひよこちゃんエッグスタンド」なるものを作ったという工芸作家さんがゲストにいらっしゃるらしい。楽しみ。蒔絵ってなんだ?漢字に「絵」と入ってるけど、写真見ると器っぽいのだけど....楽しみにしてます。
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