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ユニクロから学ぶ未来への知恵

宇佐美潤祐著『リード・ザ・ジブン』ユニクロで人材育成の責任者をやってみた-2020年1月発行-から本日は色々と考察していきたいと思います!

いま世界は、VUCAと呼ばれる、予測不能で、

ディスラプター(デジタル技術を活用した新しいビジネスにより、既存の市場原理を破壊する可能性を秘めたベンチャー企業に対する昨今の呼び名)

が殴り込みをかけてくる時代に突入しています。

しかし日本企業は、こうした環境に対応する力が極めて弱い。

令和に入っても過去の延長線上のような経営を続けているからだ。

平成元年世界時価総額トップ10では、10社中7社が日本企業であった。

しかし、平成30年ではトップ10はおろか、トップ50に入っているのも1社のみとなっている。今こそ会社と社員の関係を抜本的に見直さなければならない。そうでないと、企業としての存在自体も危うくなってしまうだろう。

2つの本質的課題

日本企業の抱える問題点

①リーダーシップの問題

VUCAに時代においては、未来の「ありたい姿」を構想し、

現状と比較して本質的な課題を再定義する未来志向型経営が求められる。

しかし、多くの日本企業は、「ありたい姿」を構想できないまま、

現状の延長線上の課題をファクト&ロジックで解いているだけだ。


②社員個人の問題

日本企業はこれまで、日本的な雇用・人事制度を行ってきた。

つまり、会社の論理が最優先で、社員はいかにそれを効率的に実現するかで評価されてきた。予測不可能な環境においては、こうした制度は会社に致命的なダメージを与える可能性がある。

会社から指示されたことをそのまま実行するのではなく、個人個人が現場で起こっている変化の兆しを察知し、正しい課題設定をして解決していかなければならない。

リード・ザ・ジブン方程式

著者は20年以上にわたり、延べ数百のプロジェクトせ戦略構築支援を行ってきた。しかし、その中でじくじたる思いを感じることもあったという。

その理由は、コンサルタントとして自信満々で提言した戦略だとしても、

大きな成果が出るケースはそのうちの半分にも満たなかったからだ。

一方で、戦略の質がイマイチであっても想像以上の成果を上げるケースもあった。クライアントがその戦略を巧みに「自分事化」して、凄いパワーで実行した場合だ。

成功するケースと失敗するケースは何が違うのか?

著者は長年この違いを考えつづけ、ある方程式を導き出した。

まず、

成果 = 戦略の正しさ(計画) X 成果を出す力(実行)

次に、京セラ稲盛和夫氏の著書『働き方』より、

成果を出す力 = 「考え方」 X 「熱意」 X 「能力」

という考え方を引用し定義。

「能力」に関しては、社内研修や人事制度により科学されている。

しかし、「考え方」と「熱意」の項目については属人的であり、

これまでは科学されなかった領域だ。


そこで著者は、

この「考え方」と「熱意」というアートにも近い概念を科学し、

再現可能なものにする変革手法を「リード・ザ・ジブン」と呼ぶことにした。

「自分事化」と「絆づくり」

「自分事化」とは、

深い自分自身への内省を通じて、自分がいったい何者で、

人生において何を成し遂げたいのか、

会社・チームにおいて何を実現しようとしていのかを明らかにし、それに向かう覚悟を持つこと。

「絆づくり」とは、

チームメンバーの間に強いエモーショナルな絆をつくることだ。

メンバーたちが、自分の人生とその背後にある価値観、心の深層にある思い、

志といったものを共有しあう。

気恥ずかしい思いを打ち明けたことで、

心理的距離が縮まり、なんでも言い合える関係になる。


三種の神器

①人生曲線

横軸を幼少期から現在までの時間軸、縦軸をモチベーションのレベルとし、

自分のモチベーションの変化を見つめるもの。

グラフの中には、モチベーションのアップダウンだけでなく、

その要因になったイベントや出来事も書き込んでおく。

ポイントは、人生曲線を眺めてみて、

それぞれの変曲点における自分を思い出すこと。

どうしてそのような意思決定をしたのか、

モチベーションが変化した理由は何か振り返ってみる。

そうすれば、自分は何者で、人生で何を大切にしてきたのかが見えてくる。

発見したことはノートに書き留めておこう。

次にチームメンバーにシェアする。

相手のことを知れば知るほど、相手に対する好感度は高まる。

次に自己肯定感が上がる。

その人のこれまで歩んできた人生を知り、

それに対するリスペクトが生まれると、

フィードバックコメントは自然とポジティブなものになる。

ポジティブなコメントをもらうと、

それまでただの理想だと思い込んでいた「志」が実現できるのではないかという、

「根拠のない自信」が醸成されるのだ。


②EGAKU

自分の内なるものを絵で可視化する手法。

あるテーマについて、折り紙の大きさの紙にパステルで絵を描く。

そして、互いの作品を鑑賞し、フィードバックし合う。

心のおもむくままに描くことがポイント。

EGAKUワークを実践すると、

自分でも気づかなかった自分の一面を知れることがある。

絵には深層心理が表れるからだ。


③My Aspiration

「志」を結晶化・言語化するワーク。

「あなたの志は何ですか?」と尋ねられても、明確な答えを出せる人は多くないだろう。

そこでこのワークでは、アリストテレスのいう、

「人を説得する3要素」を応用し、志を言語化する。

・信念

あなたは何が人生のゴールへと導くと信じていますか?

信念を教えてください。

・専門性

あなたならではの基軸は何ですか?

どのような人として覚えてほしいですか?

・共感

あなたは他の人・世の中にどのような価値を提供したいと考えていますか?

人生曲線とEGAKUに取り組んだことで、

自分の大切にしているものや、他者から得られた気づきなどインプットできただろう。

それらをもとに、全身全霊で3つの問いに向き合おう。

答えが出たら、メンバーにシェアし、フィードバックを受ける。

建設的な意見やポジティブなコメントをもらうことができ、

本気で取り組む覚悟につながるのだ。

ユニクロではどのように、実践されてきたか。

過去最高の自分を育てる

仲間を育てる

最強のチームをつくる

鍵になるのはその人のビジョン。

ユニクロの研修では、

「自分はなぜユニクロに入社したのか」

「何をユニクロで成し遂げたいのか」を確認する。

その上で、配属された店舗でその志を店舗スタッフにぶつけ、

彼らと真正面から向き合うように教育される。

それでうまくいかなければ、

上司に相談したり、本部社員にアドバイスをもらったりしながら、

店舗スタッフと謙虚に対話してチャレンジを重ねる。

そうすれば、やがて「こんな店に自分もしたいから同じ船に乗ってみよう」

というリード・ザ・ジブンからリード・ザ・チームへのうねりが起き始めるのだ。

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