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朝ドラ「おかえりモネ」の凄いところ ~防災の観点から考える~

みなさん,こんにちは.
とある地学屋の日常ことゆうすけです.
今回は,2021年10月3日現在放送中の朝ドラ「おかえりモネ」の凄いところについて「防災」という観点から説明していきます.

1.  朝ドラ「おかえりモネ」とは
 朝ドラ「おかえりモネ」とは,宮城県気仙沼市で育ったヒロイン永浦百音(清原果耶)が気象予報士として成長していく物語です.2021年5月27日から放送が開始され,2021年10月29日まで全120回の放送が予定されています.
 気象防災がテーマになっており,地球科学の視点で見ると非常に面白い物語となっているのです.私は,これまで朝ドラは時々見ることはありましたが,おかえりモネの面白さに気づいてから,会社に行く前にほぼ毎日見るくらいはまっています.具体的に私が面白いと思う点について下記に述べていきます.

2.  地元住民の情報は重要
 台風上陸により百音たちが勤める気象会社では夜も慌ただしく働いていました.そこで,視聴者の方から「近所の小川で沢山の水が流れ出たら麓の町を流れる番場川流域で氾濫するという言い伝えがある」という情報を得ました.百音たちはその視聴者の情報と気象データを基に報道チームに番場川(※架空の河川)の氾濫の危険について報道する時間を確保してもらうようにお願いするというシーンがありました.
  このシーンから,防災は科学的なデータだけではなく地元住民の間で言い伝えられている情報も非常に重要だということを気づかされました.これは水害に限らず,地震災害や火山災害でも同じことが言えると考えます.防災事業というのはどうしても科学的なデータだけに頼りがちになってしまいますが,地元で昔から言い伝えられていることには「地元を守りたい」という先人たちの思いがあるのです.専門家と地元住民との連携で共に防災に取り組んでいくことが非常に重要なのだと気づかされました.

3.  地域密着型の防災事業の重要性
 百音は,新規事業として「あなたの町の気象予報士津々浦々計画」を会社に提案するというシーンがありました.これは,全国各地に気象予報士を配置し,その土地にあった気象予報を発信していくという事業です.結局,ビジネスとしては甘いということで会社の新規事業としては認められませんでした.しかし,百音は地元気仙沼で台風により発生したカキの被害に対して地元住民が力を合わせてお祭りのように乗り切ろうとしている場を見て,「自分も地元のために何か役に立つことをしたい」という強い思いを持ち,地元に戻ることを決意します.百音は会社にそのことを相談し,会社に所属しながら地元で新しい気象事業を行うことになりました.
 このシーンから,気象予報に限らず,土砂災害や地震災害,火山災害などあらゆる防災事業は地域密着型事業が非常に重要だということを学べると思います.例えば,土砂災害対策であれば,特定の地域で地質や地形の調査を行う専門家や気象の専門家が情報発信していければ,その土地に合った的確な防災対策が実施でき人的被害を軽減できるのではないかと考えます.また,その土地にあった防災対策を実施するためには専門家と地元住民同士が情報共有を行うことも重要となると考えます.これは,前節で述べたことと関係します.

4. 最後に
 今回は,朝ドラ「おかえりモネ」について防災という観点で考えると非常に面白いということを述べました.朝ドラ「おかえりモネ」を継続して見ることで,防災対策は地域に密着し地元住民と共に取り組んでいくことが重要だということを気づかされました.また,我々のような地質調査に携わる技術者・研究者にとって重要なことを気づかされる作品だと思いました.10月29日の最終回まで残り約3週間となりましたが,今後の展開が非常に楽しみです.
皆さんも是非,朝ドラ「おかえりモネ」を視聴し,「防災」という観点でいろいろなことを考えてみてはいかがでしょうか?

▶YouTubeにて本記事の内容を公開
→金曜地学ショー02  朝ドラ「おかえりモネ」の凄いところ
~防災の観点で考える~
https://www.youtube.com/watch?v=r9Lx9RE7LmI

▶朝ドラ「おかえりモネ」公式ホームページ
https://www.nhk.or.jp/okaerimone/index.html




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