東大寺 戒壇院千手堂
国宝の四天王像で有名な東大寺の戒壇堂が、2020年7月から3年間の修理に入り、その間、戒壇堂の西にある、千手堂が特別公開されていることを新聞で知り、伺いました。
中央の須彌壇に安置されているのは千手観音菩薩様と四天王様。どちらも鎌倉時代後期の作ですが、いつもは公開していない秘仏なので(前回の公開は8年前で2週間だつたそうです。)、装飾が驚く程残っていて大変美しく、うっとりしてしました。切金細工が細かくて、以前お会いした海龍王寺の十一面観音様を思い出しました。(お顔つきも似ておられる気がしました。)
お厨子の北側には、唐招提寺開山堂の鑑真和上様の模刻像が祀られていました。江戸時代の作とのことですが、東大寺に鑑真和上像が有るのは知りませんでした。
南側には、地蔵菩薩様がいらっしゃいました。三尺程の小さな仏様でしたが、しっかりと目を開かれ、端正なお姿で見入ってしまいました。更にその隣には、愛染明王様がいらっしゃいました。等身大の大きな仏様で、玉眼の大きな目が印象的でした。
そして、出入り口近くの暗がりに、沢山の御位牌や小さなお厨子と一緒に、小さな仏様がお祀りされていました。
一見して、私には御尊名が分かりませんでした。頭は髷を結っておられますが、お召になっておられるのは、如来様の衣です。さらに右手は何かを持っておられたかのように前に突き出しておられます。お寺の方にお聞きしましたが、やはり、分からないのだそうです。それでも何だか気になり、蝉の声に囲まれながら、しばらくこの珍しい仏様を見つめていました。
修理の間、ミュージアムの方にお移りになっておられる四天王様にも、お参りしました。
戒壇堂の四天王様は、いつもと違って横一列に並んでおられました。いつもよりずっと仏様の近くに行くことが出来、大変見やすく、目の悪い私には有り難かったです。
中央には、元々戒壇堂の多宝塔にお祀りされていた釈迦・多宝如来様がいらっしゃり、良かったと思いました。
久しぶりに東大寺に行き、拝観者の少なさに驚きました。観光バスの姿も無く、鹿せんべい屋さんも見かけませんでした。南大門の仁王様のお写真を初めて撮らせて頂きましたが、人物が写り込まない写真が撮れました。
一日も早く、平穏な日常が戻りますように廬舎那仏様にお祈りし、急に降り出した雨の中、家路につきました。