栴檀(センダン)は双葉より芳しくない
「栴檀(せんだん)は双葉より芳(かんば)し」ということわざがあります。
大成する人は、幼い時から優れている、という意味だそうです。
昔から、このことわざを聞く度に、センダンという木の葉は、さぞかしいい香りがするんだろうなぁと、思っていました。
ところで、一昨日、川の横の道を歩いていたら、薄い黄色の実をたくさんつけた背の高い木があったので、写真を撮り、後で調べてみると、これがセンダンでした。
意外と近くに生えていたんです。ということは、この木の葉っぱが、いい香りがするんだな、しめしめ。
長い間、想像していた香りに会えるチャンスがやっと巡ってきたと思い、
翌日、いそいそとセンダンの木のところに行き、葉っぱをもみ、匂いを嗅いでみました。
しかし、
ん?ん?
あれ?
べつに特別いい香りでもなく、ただの葉っぱの匂いです。
おかしいなぁ?
あまりにがっかりしたので、また調べてみました。
すると、こんなことが書かれていました。
ことわざに登場するセンダンは、実は、日本でお線香に使われている白檀(ビャクダン)の別名だったのです。
白檀は、熱帯地方にしか生えていません。
インドでは、チャンダンという名前で呼ばれていて、それが中国に来て、栴檀(センダン)という字があてられたそうです。
因みに日本のセンダンは、もともと「おうち」と呼ばれていたそうです。
たくさん実がみのることから、千の団子の木、と言われるようになり、「せんだん」と名前が変わり、それに「栴檀」という字があてられてしまいました。
そうだったのか、
日本のセンダンは、もともと「おうち」なんだ。
このようないきさつで、ことわざの間違いが起こったんだな。
だから、センダンの葉っぱは、いい香りがしないんだ。
やっと納得することが出来たと、思ったのもつかの間、その白檀も、実は、双葉のときは、香りがしないという記事を発見してしまいました。
なんだとお!
そもそも間違いなのか!
このことわざは、平家物語から来ているそうです。
インドの古いお経に、「センダン(白檀のこと)は、双葉のときは、香りがないが、大きくなるといい香りがする」とあるそうです。それが大げさに「センダンは、双葉の時からいい香りがする」と間違って伝えられていたものを、平家物語の作者が、出典を確かめずに、この間違った方を引用したためこんなことになったんだそうです。
二重の間違いが生んだ、ことわざのお話でした。
ややこしい話にお付き合いいただきありがとうございました。
オマケです
センダンの木の近くにいたキジバトです。
キジバトは、つがいで見かけることが多いのですが、このキジバトは、一羽でした。
オスかメスか、分かりませんが、とても近くまで来てくれて、おかげでこんなきれいな写真が撮れました。