神護寺 阿弥陀如来坐像

 紅葉で有名な京都高雄のお寺です。その神護寺で私が一番好きなのは阿弥陀如来様です。

 雨が降っていたので、お寺に続く急な石段を、滑らないようにそろりそろりと登リました。足の筋肉が限界に近づき始めた頃、やっと山門に着きました。拝観券を求めながらふと、左の舗装された道を見ると、タクシーからお寺参りと思われる方が下りられるところでした。帰る時、地元の方に伺うと、「山門に続く道には一応柵はあるけど、タクシーは慣れているので、柵を動かして通っているよ。」とのことでした。足のお悪い方は宜しければご参考になさってください。
 
 境内を進むと、明王堂の扉が開かれ、人だかりがしていました。若いお坊様に勧められるままにあがると、黄色い袈裟をお召になったお坊様のご祈祷が始まりました。読経とともに護摩木が焚かれました。煙がたちこめ火の粉が舞います。次々に護摩木が焚かれ、炎は天井に届かんばかりです。やがて太鼓の音が小さくなり、炎も弱まり、ご祈祷は終わりました。後ほどお坊様に「火の粉は大丈夫でしたか?」とお聞きすると、「いつものことで、着物はあちこち穴だらけです。」と、笑っておられました。(御祈祷は、毎月、第ニ日曜日に行われているそうです。)

 その日は、国宝の五大虚空蔵菩薩様の公開日だったので、多宝塔にお参りしてから、阿弥陀如来様がいらっしゃる金堂へ伺いました。国宝の薬師如来様が余りにも有名で、阿弥陀如来様はあまり目立たないのですが、私はこの鎌倉時代の仏様が好きなのです。御本尊様にお参りしてから、阿弥陀様の前に行き、ずっと坐っていました。仏様は優しく微笑んでおられました。
 帰り際、ガラスの中で十字の法具がくるくる回る、“かつま”というお守りを買い外に出ると、さっきまでの雨は止んでいました。