多田幸寺 薬師如来坐像
何年か前から、このお寺は、無住のお寺です。本堂も立派ですし、庫裡も真新しく、見たところ無住には見えません。ですが、前の御住職がお亡くなりになってから、新しい住職が来られず、他のお寺の御住職が兼務されているのだそうです。
檀家が2軒なので、お庭のお掃除や、毎月の法要等は地元、田村の方々でされているそうです。
無住になってからは、団体の拝観だけ観光協会が受け付けている様ですが、初薬師の日(2月8日)は、法要の後30分程度ならば個人でも拝観させて頂けるのです。当日は30人程の人が来られていました。
たくさんの仏様がいらっしゃる長浜の中でもぜひお会いしたかった仏様でした。今は、こうして毎年拝観させて頂けるようですが、以前は50年に一度の秘仏だったのでお会いするのは無理だと諦めていました。その仏様にこうしてお会いできたことに感激しながら、正面から、右から、左からまた右から30分以上拝観させて頂きました。
御住職が「お近くからどうぞ」と仰ってくださるのでお言葉に甘えて本当に近くから拝観させて頂きました。
どつしりとしたお身体と大きな手をされています。深く静かなお顔の薬師様は、私たちに何かを伝えようとしておられる気がしました。じっと見ていると心がシーンと鎮まってきます。私たちの苦しみやつらい事等すべて分かっておられて、全てお任せ出来るような仏様でした。
お集まりになってらっしゃった地区の方々に甘酒やお菓子を頂きながら、こんな素晴らしい仏様がいる街中のお寺でも、維持するのが難しい時代になっているのだなあと思いました。