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生き続ける言葉

私が経験した忘れられない法事ですが、参列者は名義人と奥様でした。お二人は聴覚障害者の方で話をすることができない方でした。

浄縁墓の契約者の方で、浄縁墓が建立された最初の頃に私が契約させていただいた方でした。契約時は身振り手振りとメモで対応して大変苦労したのを覚えています。

この度の法要は、その名義人のお父様の25回忌とお母様の33回忌の法要でした。契約時のときと同じように身振り手振りとメモでコミュニケーションを取るつもりでしたが、名義人様と奥様の他に手話通訳の方が同行してくださったので、こちらのお話を伝えるのに非常に助かりました。

25回忌のお父様ですが、仕事で洋服の直しをしていた方でお父さんの印象を聞いたところ、仕事ばかりで仕事をしている父の後ろ姿の印象しかない。しかし、その背中から受けた仕事は最後までやり通すということを教えてもらいまいたとお聞きしました。

言葉で語らずとも背中で語っている、そしてそれが息子に伝わっているのが大変すばらしいことだと感じました。

33回忌のお母様からは「あなたは耳が聞こえず、人より情報が入ってこないのだから、足で歩いて実際に見て情報を掴みなさい」と教わったそうです。

お母さまが、将来自分がいなくなったときの息子のことを心配して言った言葉で、なんとかしっかりと生きていってほしいとの願いがかけられていると感じました。今でも名義人様は、その言葉が自分の生きていく上での大切な指針になっているそうです。

亡くなってからも子供の心の中に生きていく上での助けとなるような言葉を残していける親の愛情の深さを感じるとともに、そのような思いを参列した名義人様に思い出して頂けたこと、一緒に生きていっている奥様に聞いて頂けたことが大変よかったと印象に残った仏事支援でした。

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