見出し画像

2_07_”看板を背負っている”ということ

このnoteは、投げ銭スタイルで投稿しております。
最後までお読みいただけると嬉しいです。

例えば、あなたが、何かの用事で、とある企業のコールセンターに電話をかけたとき、要領を得ず、たらい回しにされてしまったり、どうも対応する態度が良くないと感じたとしましょう。そして、後日、そんなことがあったと他人に伝える場合、何と言いますか?
「あの○○さんという人、最悪だった!」とは言いませんよね。恐らく、「あの○○という会社、最悪だった!」という表現をするのではないか、と思います。
たらい回しにしたのも、態度が良くないと感じたのも、その相手は、会社ではなく特定の一人であるはずなのに、そして、その特定の一人以外の大勢も同じようにたらい回しにしたり、態度が良くなかったりするのかどうかを確かめることもないまま、”あの人”とは言わず、”あの会社”と言いませんか。
では、その逆を考えてみてください。あなたが、会社などの組織に所属している人であるならば、この例と同じような状況や立場に置かれてしまうことだってあるでしょう。そこで、「自分は、絶対に失礼のない対応を取っている。」と言い切れますか。もしも、思い当たる節があるのなら、すぐに改善しましょう。なぜなら、

ぶっちゃけ!
「組織である以上、それが、たとえ細かい一つ一つのことであっても、組織全体としての評価になってしまうからです!」

組織に所属して仕事をしている以上、”看板を背負っている”という意識を忘れる訳にはいきません。
これは、新人かベテランか、といったことは関係ありませんし、もっと言えば、雇用形態が正規か非正規か、といったことも関係ありません。
かかってきた電話に出たときに、「はい。株式会社○○です。アルバイトの○○が出ました。」とは言いませんよね。組織外の大勢の人々にとって、組織内の人が、それぞれにどのような立場なのか、ということは、最初の段階では関係ありません。

かかってきた電話に出るという状況で言えば、たまたま電話に出ることもあるでしょうし、その内容が自分の担当外のこともあるでしょう。そのようなとき、みなさんはどうしますか。
当然、あなたは、担当ではありませんので、その電話の内容を受ける訳にはいきません。それは仕方ありません。
問題なのは、そのときの対応の方法です。
もちろん、「わかりません。ごめんなさい。」で切ってしまうのは論外です。
最低限、「その件でしたら、ご対応させていただけるのは○○でございますので、そちらにおかけ直しいただけますか。」という程度の対応は必要。しかし、これも、かなり酷い対応ですね。不満が残ります。
詳細まではわからなくても、要件はしっかりと聞いたうえで、「担当の者に連絡するよう伝えますので、今しばらくお待ちいただけますでしょうか。お名前とお電話番号をちょうだいできますでしょうか。」くらいまではほしいところ。
このあたりは、企業が提供する商品やサービスによっても、組織の形態によっても違ってくると思いますので、一概には言えませんが、要するに、ここで言いたいのは、あなたが、担当者かそうでないかは関係なく、その組織の一員としての対応が必要になる、つまり、組織外から見たあなたは、その組織の看板を背負った存在だ、ということです。

私が学生のとき、ピザの宅配のアルバイトをしていたことがあります。屋根付きの三輪バイクに乗って、注文をいただいたお客様のお宅や事務所やお店にピザを配達するというアルバイトです。
ある日、配達から返ってきた先輩が、「さっき、警察に捕まって、切符を切られてしまいました。」とマネージャに報告していました。どうも、踏み切りの手前で、一時停止をせず、そのまま突っ切ったら、しばらく進んだ所でパトカーに停められ、反則の手続きをされてしまった、ということのようでした。
その後、休憩のときにその先輩は、「やっぱり、看板背負ってるからな。。。」と言って、三輪バイクの後ろのピザボックスにでかでかとカラーリングされたお店のロゴを指さしていました。
パトカーの中から警官に停まるよう言われたらすぐに停止したし、受け答えもしっかりと、違反は違反として手続きされながらも、その他のことについても、きっちりと対応して、一連の手続きを終えた、ということでした。
もちろん、でかでかとお店のロゴがカラーリングされていなくても、仕事中であれば、そのときは明確に看板を背負っている訳だし、非番のときでも、組織に所属している以上、”その組織の人の非番のとき”となりますので、どこまで行っても、看板を背負った状態のままになります。
それ以前に、たとえ看板を背負っていなくても、交通違反を犯してはいけないことは言うまでもありませんが。

プライベートのときよりも勤務中のほうが気を遣わなければならないでしょうし、勤務中でも、社名が入った車に乗っているときなど、素性が明らかであるときのほうが、より気を遣わなければなりません。
もちろん、個人的に運転しているときは、適当でいいということではありませんが、やはり、社名が入った車を運転するときは、自分の車を個人的に運転しているときとは訳が違います。
”クレーマー”と呼ばれるような人が増えているという報道も多くなりました。そんな昨今、どんなことでトラブルになるかわかりません。細心の注意を払い過ぎるくらいで丁度良いのだろうと思います。

このように、”悪いことが起こらないように大事にする必要がある”看板ですが、看板に関係することは、そのような悪いことばかりではありません。

看板を背負うことが許されるがゆえに、同時に、絶大な力で守られてもいるのです。

社名が入った名刺を持つことを、そして、必要に応じて相手に渡しながら、自己紹介することを許されている。また、電話に出たとき、まずは、「株式会社○○の」と名乗ることを許されている。そういうことを許されているがゆえに、認められるし、相手にもしてくれる。つまり、その看板の力を借りることができているから、日々、業務として活動することができるのです。

個人事業主には、この看板という後ろ盾がありません。そんな状況の中でも、技術や能力を認めてもらい、信頼を勝ち取っていくことをしながら成果を出していかなければなりませんので、相当なパワーを必要としますし、そんな状況でも頑張っていくという気概が必要です。
脱サラした人のエピソードとしてよくあるのが、「以前の知り合いが疎遠になった。」というものです。会社に所属していたときに付き合いがあった、懇意にしていただいていた人に、独立してからお会いしようと連絡をしても返答がない。ようやくつながった電話で、「お会いするお時間をちょうだいしたい。」とお願いしてもなかなか良い返事がいただけない。そこで気がついたのは、”これまでは、会社という信用の上に成り立った、大きな大きな看板を利用して仕事をすることができていただけであって、決して自分の力で成果が出せていたわけではない。”ということ。結局は、もう一度、自分の力で成果が出せるようになるために、一から頑張らなければならないことに気がついた、というお話しです。

やはり、絶大な力を持つ看板を大事にするという意識を忘れてはいけません。
そんな、看板ですが、もう一つ、忘れてはいけないことがあります。それは、
「看板は、所属するメンバー一人一人に与えられるのではなく、”組織全体で一つ”である。」
ということです。
ですから、冒頭の例では、個人に対する批判ではなく、組織に対する批判になるのです。電話の対応一つ間違っても、その組織をひとまとめにして、「あの会社は教育がなってない。」という評価になってしまうのです。
したがって、組織である以上、すべては看板に対する評価と同じことである、ということを忘れてはいけませんし、全員で一つの看板を掲げていますので、一人が起こした問題が、組織全体、つまり、唯一の看板に対して傷を付けてしまうことになる、ということを忘れてはいけません。

このあたりのことがわかっていない、または、わかっていても忘れてしまう、または、覚えているのに無視してしまう人が多くなればなるほど、看板を良いものとして維持するのが困難になり、やがては、組織が消滅することにまで発展してしまうかも知れません。
自分のためだけでない看板のために、その看板を素晴らしいものにするために、一人一人が気をつけて、貢献するという気持ちが必要だと思います。

Twitterやってます。
https://twitter.com/admin_butchake

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?