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辞書の生き物              #8 同じ穴の狢:おなじあなのムジナ

ムジナとタヌキとアナグマと

 悪い計画に一緒に関係している者のことで、一つ穴のムジナとも言います。ムジナは主にアナグマを指しますが、タヌキやハクビシンも含めた総称として使われることもあります。アナグマが掘った穴にタヌキが住むことがあることからできた言い回しのようです。
 アナグマはその名の通り、穴を掘るのが得意で前肢の爪が長いのが特徴です。タヌキは自分では巣穴をほらず、ほかの動物が掘った穴を拝借したり、一緒に使ったりしているようです。
 タヌキやキツネが人をだますとされていたため、同じ巣穴に住むムジナも悪事をたくらむ一味と思われてしまったようです。とんだとばっちりです。しかし巣穴を掘ったのはムジナで、そこに後からやってきたのがタヌキですので、その順番を加味して言うと「同じ穴のタヌキ」になるように思います。タヌキは、人をだますイメージが定着していたため、生態がよくわからなかったムジナも同類とみなされたということでしょうか。
 この言い回しができ定着してきたわけですので、当時の人は彼らが共同生活することを知っていたと考えられます。昔はタヌキもアナグマ(ムジナ)も人の生活圏の近くに住んでおり、彼らの生活ぶりをよく見ていた先人の観察眼に脱帽です。

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