蚤の心臓:ノミのしんぞう #191 辞書の生き物
蚤の心臓
とても気が小さく臆病な様子を表す慣用句です。
小さなものの代表として蚤が使われており、その蚤の心臓ですから、あったとしても見えないほどでしょう。
実際には蚤を含む昆虫には人と同じような心臓はありません。
昆虫は人のような血管は持っておらず、心臓も管の後ろから体液が入り前へ送られるという単純な循環系になっています。
「蚤の心臓」は、まさに小さいものの代表としてのイメージでできた言葉でしょう。
「蚤の心臓」の反対語は「心臓に毛が生えている」くらいでしょうか。
心臓に毛が生えることはありませんが、毛むくじゃらでいかにも強そうなイメージです。
身近な生き物で大きな動物といえばウシやウマですが、ウシは体重500kg以上にもなり、乳牛ではドラム缶より大きな胃袋も持っています。
しかし、その心臓は2kg程度で体重の0.5%にも満たない大きさです。
一方、ウマの心臓は、5kg前後もあり体重の1%くらいもあります。ウマが速く走れるのはこの大きな心臓のおかげです。
ウシとウマ、体重は似ていても日ごろの運動強度に応じた心肺機能ができあがってきたのでしょう。
ちなみに焼き肉屋で食べる「ハツ」は心臓のことで、英語の「heart」が由来です。