辞書の生き物 #299 天蚕糸:てんさんし、てぐす
天蚕:てんさん
絹糸はカイコの繭(まゆ)から作られますが、世界遺産になった「富岡製糸場」などで作られていた絹糸などは、養蚕(ようさん)として農家で飼われていた養殖もののカイコの繭が材料となっていました。
それに対して、野生のカイコ(天蚕)が作った繭を材料にした天然の絹糸のことを「天蚕糸:てんさんし」と呼びます。
やや緑がかった色合いで光沢があり、養殖物の糸より太く強い絹糸になるそうです。
天蚕糸と書いて「てぐす」と読む場合があります。
ひらがなではなくカタカナで「テグス」と書くとイメージしやすいですが、釣り糸として使われる糸のことです。
絹糸は「蚕蛾:かいこが」の繭から作られますが、テグスは「テグスサン」という蛾の幼虫の絹糸腺(けんしせん)から作られていたため、「天蚕糸」の字があてられたようです。
現在ではナイロンなど合成繊維が使われていますね。