兎角:とかく #75 辞書の生き物
兎角(とかく)・兎に角(とにかく)
あれやこれや、いろいろ、何はさておき、いずれにしろ、などの意味を持った言葉です。
兎角は、元々はウサギのツノのことで、ウサギにツノはないことから現実には存在しないものを表していましたが、現在使われている意味とは関係はないようです。
兎角は「兎に角」と同じ意味で使われますが、どちらの漢字も当て字のようです。
草枕
夏目漱石の小説「草枕」の冒頭の文章は有名ですが、この一節にも「兎角」がでてきます。
山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。
智(ち)に働けば角(かど)が立つ。
情に棹(さお)させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
「兎角」に人の世は住みにくい。
漱石
漱石は当て字の使い手として知られています。
非道い(ひどい)、好い加減(いいかげん)、左様ですね(そうですね)、などが知られており、漱石というペンネームからして変わり者と自覚していたのかもしれません。
秋桜:コスモス
当て字として定着したものの代表は「秋桜:コスモス」でしょうか。山口百恵が歌った曲ですが、作詞の際、さだまさしがコスモスと読むことにしたそうです。
何か広まる当て字、作ってみたいですね。