盲亀の浮木:もうきのふぼく #131 辞書の生き物
盲亀の浮木
出会うことが非常に難しいこと、めったにないことのたとえとして使われる慣用句です。
由来が仏教の寓話であることから、人として生まれること自体が奇跡のようなことであること、そしてその人が仏の教えに出会うことの確率が大変低く、非常にありがたいことだという意味を持つ言葉としても使われます。
大海の深くに住んでおり、百年に一度だけ水面に浮かび上がる目の見えない亀が、海の表面を漂う流木のたった一つの穴にたまたま頭を入れるというほとんど起こりえないことという仏教の寓話からできた言葉です。
「千載一遇」が類義語になりますが、こちらは千年に一度、偶然起こるくらいのできごとという意味です。
「盲亀の浮木」とどちらが起こりやすいでしょうか。
「盲亀の浮木」は起こる確率が非常に低いことを表しますが、起こりにくいことを「有り難い」と言います。有ることが難しいを短く言った言葉ですが、ここから有難い、ありがたしなどと変化し、現在使われる「ありがとう」が派生したとされています。
オランダ語で「ありがとう」の意味を持つ「オブリガード」の発音から変化して「ありがとう」が生まれたという説もあるようですが、仏教の方が断然早く日本に伝わっていますので都市伝説でしょう。