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日本関税協会「関税評価ドリル」の感想と使い方



関税評価ドリルとは?

関税評価ドリルは通関実務の課税価格の計算や、申告書問題の学習に立つ問題集です。


正直同じシリーズの「計算問題トリル」「通関手続きドリル」に比べると私の評価はあまり高くありません。
問題集としてはちょっと使いにくいところがあるからです。

ただ通関実務の教材は、この問題集以外はまとまって机に座る時間がないと勉強しにくいものばかり。
一文一文が短く、B5サイズで持ち運びも便利なこのテキストは貴重です。

通関実務は机に座って勉強しないといけないイメージが強いですが、このテキストを利用すれば、移動中や外出先でも勉強できます。

ただ問題集としてはちょっとクセがあり、問題を解いて合っていた!\(^o^)/ 間違っていた! (T.T)という使い方だとほぼ勉強にならないでしょう。
(他の問題集でも正解だったか間違いだったかに一喜一憂する使い方はお勧めできませんが、この問題集は特にこの傾向が強いです)

LEVEL1からLEVEL5まで段階を追って勉強できる問題集ですが、LEVELによってはずっと正答が〇だったり、解答の文章が長すぎたりと問題集としては使いにくく、結局使わなくなってしまったということになりがちな問題集です。
実は私も一度この問題集を使い始めて、途中でやめています。

上手に使えば、なかなか机に座る時間がない忙しい人でも、気軽に通関実務の勉強がてきる有用な教材なので、途中で使用をやめてしまうのはもったいないです。

そこで私が試行錯誤してみつけた身につく使いかたについてご紹介します。

LEVEL1 要点知識の確認

形式としては一問一答の正誤問題になってはいますが、解答は〇が続いたりして、一問一答問題としては使いにくいです。
問題集というよりも熟読用テキストとして使用することをオススメします。
問題を解くというよりも、問題文と解答(ある場合)をじっくり読むことを重視しましょう。

わたしのおすすめの進め方は下記の通りです。
1,1問目の問題と解答を読む。読んだら左の小さなマスにチェックを入れる。
2,1問目と2問目を読む、読んだら左の小さなマスにチェックをいれる。
3、1問目と2問目と3問目を読む、読んだら左の小さなマスにチェックをいれる。
3、1問目と2問目と3問目と4問目を読む、読んだら左の小さなマスにチェックをいれる。
4、1問目と2問目と3問目と4問目と5問目を読む、読んだら左の小さなマスにチェックをいれる。
5、4までで1問目の小さなマスはすべて埋まっていると思いますので、今度は2問目、3問目、4問目、5問目、6問目を読む。
6、5までで2問目の小さなマスはすべて埋まっていると思いますので、今度は3問目、4問目、5問目、6問目、7問目を読む。
6、6までで3問目の小さなマスはすべて埋まっていると思いますので、今度は4問目、5問目、6問目、7問目、8問目を読む。
7,以下すべての問題のマスが埋まるまで繰り返す。

問題文も解答文も難しくて一読では理解しにくい文章ばかりですが、短時間に何度も繰り返し読むことにより、理解できるようになります。

LEVEL2 要点知識の習得

選択式になっていて、この問題集の中では比較的解きやすいです。
こちらも一度正答できたからといって解きっぱなしにせず、解答をよく読んで何度も繰り返し解いて初めて身になると思います。

LEVLE3 要点知識の定着

解答文がかなりの長文な記述問題で、通関士試験の問題集としてはほぼ機能しないです。
(記述試験があるような試験ならこういう問題演習もありだとは思いますが、通関士試験はすべて選択式なのでこういうタイプの問題演習は必要ないでしょう)
LEVLE1と同様の学習法で勉強するのがよいと思います。

LEVLE4 本試験レベル(標準問題中心)

一問一答の正誤問題です。
解答が〇になる問題と✕になるのがバランスよく入っています。
関税法に出題されるような問題も入っていて、この章でしたら通常の一問一答問題として使用できます。
一度解いてみて、正答できた問題は印をつけて2周目以降は解かない。
誤答だった問題は5つあるマスが埋まるまで繰り返し解く、という使い方で構わないと思います。
(もちろん時間に余裕があるのなら一度正答できた問題を繰り返し解いてもよいでしょう)

LEVLE5 本試験レベル(難解問題中心)

LEVLE5 本試験レベル(難解問題中心)はLEVEL4 本試験レベル(標準問題中心)より一歩進んだ難易度の正誤問題です。
LEVEL4と同じく、勉強しやすい一問一答の正誤問題です。LEVEL4と同じような勉強方法でよいでしょう。

LEVLE5 は考えさせるタイプの問題が多い印象でした。
私は「関税評価ドリル」は「計算問題ドリル」「通関手続きドリル」に比べると評価は高くないと最初に言いましたが、「関税評価ドリル」もLEVEL5はかなりよい問題がそろっていると思います。
様々なパターンの通関実務の課税価格の計算に問題を解く際に役立つ知識や考え方が身に付きますので、LEVEL5に関してはぜひ勉強することをオススメしたいです。

みこ会の「課税価格の決定」の方がおすすめかも

実を言うと私は関税評価の勉強には「みこ会」の「課税価格の決定」の方がよいと思っています。
「関税評価ドリル」よりもかみ砕いて説明しているので、わかりやすいです。

ただみこ会「課税価格の決定」は約380ページもあり、一章の解説文も長いので隙間時間での勉強がメインの人や、集中力のない人には勉強しにくいところがあります。
そういう人はみこ会の「課税価格の決定」は一通り読む程度にして、「関税評価ドリル」をメインに使うのがよいでしょう。
まずみこ会「課税価格の決定」を一通り読んでから、「関税評価ドリル」で定着させるのが王道でしょう。
「課税価格の決定」とみこ会「関税評価ドリル」を組み合わせて勉強する場合は、関税評価にかんする基礎知識はみこ会「課税価格の決定」で身についていると思いますので、「関税評価ドリル」は使いにくいLEVEL1,LEVEL3は飛ばして、LEVEL2,LEVEL4,LEVEL5のみ勉強してもよいと思います。

通関実務も知識が重要

通関実務の申告書問題や課税価格の計算等の計算問題は何度も問題集を解いて、練習することが大切だと考えている人が多いと思います。
確かにその通りですが、知識のあるかないかが、正答できるかどうかを左右することも多いです。

この費用は加算か控除か? どちらの取引が輸入取引になるか? その知識がうろ覚えだったために正答できないことが私も何度もありました。

ですので、この「関税評価ドリル」を利用して通関実務の知識を定着させることはとても有効なことです。
特にまとまった時間をとって通関実務を勉強できない人にはおすすめしたい問題集です。

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