
関連図書を3冊読み込み、「Z世代の教育」を数学的に理解したらこうなりました。
定期購読マガジン 「数と論理と仕事術 」プレミアム
国内唯一のビジネス数学・教育家であり、35冊のビジネス書・教育書・小説を書いてきたベストセラー作家が紡ぐ文章。独自の目線でビジネススキルを解き明かし、人材育成研修のエピソードや新しいラーニングコンテンツを公開。読むだけで数学的な仕事術が身につく連載マガジン。ぜひともご登録ください。(初月無料です!)
↓今回の本編はここから↓
理解力を鍛えるテーマとして社会的な問題を推奨する理由はすでにお伝えしました。もし「他にもあるとするなら?」と質問されたなら、やはり私は「読書」と答えるでしょう。
子どもの頃、いわゆる読書感想文を書いた経験のある人も多いのではないでしょうか。あれはまさに情報をインプットし、それをどう理解したかを人にわかるように説明することです。そういう意味で、理解力の訓練とはすでに子どもの頃から学校で行われているのです。読書感想文の重要性は子どもでも大人でも同じとするなら、やはりこの方法は有効だと考えます。
ぜひいろんな本を読んで実践していただきたいと思いますが、できればその際にやっていただきたいことがひとつあります。
「同ジャンルの本を3冊以上読んでから、読書感想をまとめる」
たとえばあなたが「老後の健康」に関する書籍を1冊だけ読んだとします。その1冊のインプットだけで読書感想をまとめることも悪くありません。しかし可能であれば、同じ「老後の健康」に関する書籍をあと2冊だけ読んでいただき、計3冊以上の読書の結果をまとめてください。
なぜ3冊なのかというと、1冊と2冊ではデメリットがあるからです。ここは私のこだわりがある部分ですので説明します。
【1冊のデメリット】
まず挙げられるのは、比較ができないことです。その1冊の内容がすべてになってしまい、多角的な視点が持ちにくくなります。医師が書いた本を読んだなら、次は栄養学の専門家が書いた本を読む、といった考え方をしたいものです。
また本は目次がありますが、これはすでに体系立てられた情報になっていることの証です。わざわざ読者が体系立てようとしなくても、十分に質の高い状態で体系化されているのです。専門家が体系立てた完璧な状態のものを、素人のあなたがさらに高いレベルで体系化するのは困難を極めます。
【2冊のデメリット】
同ジャンルの本を2冊読めば、先ほどのデメリットは解消されます。しかし別のデメリットが生まれると私は思っています。今度は比較ができてしまうがゆえに、どちらの本が信用できるか、好みだったか、といった視点がどうしても生まれてしまうことです。
たとえば医師が書いた本を読んだ後に、栄養学の専門家が書いた本を読んだとします。もしあなたが栄養学の専門家よりも医師のほうが“優れている”という心理的バイアスがあるとしたら、どうしても医師が書いた本の内容を正しいものとし、栄養学の専門家が書いた本はあまり参考にならないという思考になってしまいます。それでは2冊読む意味がなく、だったら最初から医師が書いた本だけ読めば良いということになります。
いまこうして私が文章で解説すれば、誰もが「バイアスに気をつけて読めばいい」と思います。しかしバイアスとは偏見や先入観のことであり、本人でも気づかないものがほとんどです。事実、私は自分自身がどんな心理的バイアスを持っているのかを自覚できていません。
以上より、最低でも3冊読むことでここまで考えられるデメリットは排除できます。もちろんそれ以上が可能な人はぜひ読んでみることをおすすめします。複数の本を読むと、それらに共通するエッセンスや、頻繁に使われるワードなどに気づいてきます。1冊や2冊ではそれがたまたまである可能性もありますが、3冊、4冊、…と増えていけばそれは偶然ではありません。おそらくそれがまさに本質を示す可能性が極めて高いと判断できます。
ということで、今回は演習問題としてそんなテーマを選びました。
----------------------------------------------------------------------------【総合演習】
1990年代後半から2000年代にかけて生まれた世代を「Z世代」と呼びます。いま、それより前に生まれた世代がこの「Z世代」とどう付き合えば良いのかがわからず、会社組織などでは深刻な問題に発展しています。
関連する書籍を3冊以上読み込み、読書感想をまとめてください。その上であなたの考える、上司世代がZ世代を戦力に育てるために必要なことはどんなものかを言語化してください。
----------------------------------------------------------------------------
Z世代以前に生まれた人はもちろんのこと、まさにZ世代である人にとっても関心の高いテーマではないでしょうか。せっかくですからこの機会に読書という体験を通じ、自分なりの理解をまとめてみてはいかがでしょうか。
ここで間違えてはいけないのが、このエクササイズは読んだ本の要約をするわけではないということです。あくまで読んだうえで、あなたはどう理解したのかを読書感想のような形でまとめることが目的です。
私も実際に次の3冊を読書し、その感想と得られた教訓をまとめました。ご参考になれば幸いです。
『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学』 古屋星斗 日本経済新聞出版
『「今どきの若者」のリアル』 山田昌弘 P H P新書
『メンターになる人、老害になる人』 前田康二郎 クロスメディア・パブリッシング
では、私の数学的理解について解説しましょう。
いただいたサポートは、書籍の執筆業務や教育現場での活動を拡大し皆様にシェアする情報をさらに届けるために使わせていただきます! noteの「スキ」やamazonの書評も大きなサポートになりますので、よろしくお願いします。