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「最軽量のマネジメント」

著者はサイボウズ副社長の山田理さんです。
私が読んだのはコロナ前でしたが、コロナ禍の今、改めて読み返してみました。先日の7/2にテレビ東京系「カンブリア宮殿」にサイボウズ社長の青野慶久さんも出演されていましたのでそちらも一度、ご覧になるのをお勧めします。このサイボウズという会社はグループウェアを開発する会社で、多くの企業がスケジュールを管理したり日報を管理するに当たり取り入れています。私の会社も私がイベントの企画・営業チームをマネジメントするために取り入れて、5年ほど利用しています。チーム全員の日報を読み、毎日コメントを返すなどして来ました。

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山田理氏 (YouTubeより)


今回、この本を手に取るきっかけは帯に書かれている“板挟みに悩むリーダーへ”という文言でした。

当時、私はマネージャーの立場でしたが、経営セクションへとステップを上がる時期にあり、次のリーダーにバトンを託すタイミングでこの本に出会いました。業務その他において、マネージャーとしての役割や求められるものが非常に多く、次のリーダーを潰しかねないと危惧したからでした。

ここで著者が挙げるマネージャーの仕事は以下の項目です。
a.プロジェクトマネジメント
b.人材マネジメント(育成・評価)
c. 中間管理職としての業務(報告・連絡・相談)
d.プレイヤーとしての実務(当社の場合はイベントプロデュースや企画書作成)

これらの業務を私は勢いでこなして来ましたが、そのノウハウを次のリーダーにそのまま渡すわけにはいかないので、自分の経験と本書を照らし合わせて環境を整えてみました。

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マネージャーとして最も大切な「意思決定」が出来るように本書では「100人100通りの働き方」「情報の透明化」「説明責任と質問責任」を挙げています。

この上記の考え方に至るまでの青野社長と著者の試行錯誤は、カンブリア宮殿でも紹介されていましたが、IT企業として注目されて来た頃はバリバリのブラック企業であったと社長自ら言っていました。とにかく人が辞めていく、離職率の高さに悩んでいたそうです。

当時のITベンチャーはとにかく長時間労働は当たり前だったそうです。私も業界は違えどイベント業界。バリバリの体力勝負で仕事をしていましたし、土日祝はイベントの最も忙しい曜日になりますので当たり前のように1年365日働き、大晦日はカウントダウンパーティー、元旦はニューイヤーイベントと、休みがないことに酔っているような部分すらありました。それをチームに強要してはいけない。まさに働き方改革が声高に叫ばれだした頃でした。

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働き方について、本書では業界の常識に捉われず根性論で語るのをやめ、無理がある部分をしっかり見つめ直すことにし、また経営情報というフィルターでブラックボックス化することをやめ徹底的に見える化したそうです。情報公開という経営上のリスクを支払ってでもやるべきだという理由が本書には書かれており、改めて経営の難しさを考えさせられました。

働き方も見直し、育休や産休、フレックス勤務などの制度設計を進めていきます。こうすることでマネージャーがチームに対して管理する必要がある部分が最小限になっていくように組織を作りあげて行きます。

そして本書では、マネージャーの負担があまりに大き過ぎるということを提唱していますが、それは「ピラミッド型」、言い換えれば、身分が明確に区分けされている、いわゆる階級制の「ヒエラルキー型」の組織だからだとあります。部署ごとの調整や他社との調整など様々な調整の上でプロジェクトを動かしていくマネージャーという役職は、負担が大き過ぎると言います。そこで本書が提唱する新しい組織の形は「キャンプファイヤー型」です。縦構造ではなく、横構造でマネジャー中心にプロジェクトごとに共感するメンバーが集合離散を繰り返す組織です。

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この組織の新たな提言は、このコロナ禍の時代に議論が拡がっている「メンバーシップ型」「ジョブ型」の組織の在り方とも似ている考えです。

そして今やリモートでオンライン会議を中心にプロジェクトを進めていく時代にあり、このヒエラルキー型の組織は徐々に機能しなくなる可能性があります。それぞれの専門性の中でプロジェクトごとに集まりアウトプットしていく時代です。

本書の著者の山田さんの提言はまさにこのコロナウイルスとの共存という時代を経て現実化していくことになる考えである気がします。マネージャーが組織のヒエラルキーを背負い会社の方針を背負い“地位”を使い動かしていた組織の動かし方が、より人対人の等身大の自分自身を見せながらコミュニケーションを図り意思決定していくという組織の動かし方に変わっていくと思います。

この本は今、コロナ禍のチーム作りに悩んでいるマネージャーや経営者が読むべき1冊になるかと思います。


是非、ご一読を。


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