アンジー。daichead a trÍ
僕の肩に頭を寄せて僕の腕の中にいるのにルーはぼんやりとしていて心ここにあらず。
そんなにショーンのことが気になるの?
うん。うーん、ショーンはいつも違う女の人とどっか行っちゃうんだ。
そりゃショーンだもん、女の人の方がほっておかないでしょ。
うん。でもしばらくすると結構酔っ払って帰ってくるの。
じゃあ、今夜はここでルーと二人きりってわけじゃないんだね、残念だなあ。
部屋にはセミダブルサイズのベッドとソファーにキャビネットにテレビぐらいしかない。
三人でどうやって寝ますかね。
いつもは僕がソファーで寝るの。
一緒に寝てないの?
そんな、もうショーンと一緒に寝たりしないもん。
でもそのパジャマ、ショーンのでしょ。
あ、しまった、また怒られちゃう。前は何にも言わなかったのに、最近ショーンの服借りるとすごく怒るんだ。この頃ずっと機嫌が悪くて怖い。
ふーん。仕事でイヤなことでもあったとか。仕事、建築関係だったっけ?
うん、そう。今僕のペンションの改築やってるし。ローラの家もリフォームするし。作業小屋も母さんたちが住めるように増築中なんだ。あ。そうだ、ローラね、今度結婚するんだよ。
待って、ローラの家とか結婚とか何それ。
ローラの結婚の話しが出てからルーは、はしゃいでしまって話はあちこち行ったり来たりしてよくわからなくなっていった。
あ、着替えとかなきゃ。
そう言ってパジャマのズボンを履き替える時に脚をジーンズにひっかけてソファーに頭から倒れ込んだ。
大丈夫?少し落ち着いたら。
だからね、たくさんお金がいるの。
ああそうだね、ローラの結婚式に親戚が集まって、ルーのところでパーティーをやるし、元の家を改築してローラの新居にするし、作業小屋を増築してお母さんたちが住むし、ルーのペンションのファミリースペースも改築するんだもんね。物入りだね。
うんうん。それでアンジーの時にチップをたくさん貰えるように頑張ってるの。
へえ、どんなふうに?
えっと、こうやってね、
とルーは僕にぴったりとくっついて座り太ももに手を置いて目を覗き込んだ。
あなたのために歌わせて、ね。
アンジーの姿でそんなふうに見つめられたら僕はきっと財布を空にするよ。
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